譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、目的物件に対し民事執行法一二二条の規定により譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行につき、第三者異議の訴えによつてその排除を求めることができる。
譲渡担保権者と第三者異議の訴え
民法369条(譲渡担保),民事執行法38条1項,民事執行法122条
判旨
譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、設定者の一般債権者が目的物件に対して開始した強制執行の排除を求めることができる。
問題の所在(論点)
譲渡担保権者は、目的物件に対して設定者の一般債権者が行った強制執行の排除を求めることができるか。また、その権利行使が制限される「特段の事情」の有無が問題となる。
規範
譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、譲渡担保権者たる地位に基づいて、目的物件に対し譲渡担保権設定者の一般債権者がした民事執行法122条規定の強制執行(動産執行等)の排除を求めることができる。
重要事実
譲渡担保の設定が行われた目的物件に対し、設定者の一般債権者である上告人が強制執行を申し立てた。これに対し、譲渡担保権者である被上告人が、当該譲渡担保権に基づき第三者異議の訴え(強制執行の排除)を提起した。上告人は、執行を排除できない「特段の事情」の存在を主張したが、その具体的な立証は十分になされなかった。
あてはめ
本件において、被上告人は譲渡担保権者の地位にある。判例によれば譲渡担保権者は原則として設定者の一般債権者による強制執行を排除できる。上告人は排除を妨げる「特段の事情」について主張したが、記録上、当該事情について主張立証を尽くしたとは認められない。したがって、原則通り譲渡担保権に基づく排除が認められるべきである。
結論
譲渡担保権者による強制執行の排除請求を認容した原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
譲渡担保の対外的効力を重視し、第三者異議の訴え(民執法38条)の正当な根拠になることを明示した判例である。答案上は、債権担保の目的であっても所有権移転の形式を重視し、一般債権者との関係では譲渡担保権者が優先することを原則として論述する際に用いる。ただし、「特段の事情」による例外の余地がある点に留意が必要である。
事件番号: 昭和57(オ)1408 / 裁判年月日: 昭和62年11月10日 / 結論: 棄却
一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対…