競売法三二条二項により準用される民訴法六八七条によつて発せられた競落不動産の引渡命令に対する不服は、同法五四四条により異議を申し立て、その申立が却下された場合には却下の裁判に対し同法五五八条により即時抗告を申し立てる方法によるべきであり、右引渡命令に対し第三者異議の訴を提起することは許されない。
不動産引渡命令に対する不服申立の方法
競売法32条2項,民訴法687条,民訴法544条,民訴法558条,民訴法549条
判旨
不動産競売における引渡命令は、債務名義ではなく執行の方法としての性質を有するものであるから、これに対して第三者異議の訴えを提起することは許されない。
問題の所在(論点)
競売不動産の引渡命令に対し、民事執行法38条(旧民訴法549条)に基づく第三者異議の訴えを提起することが許されるか。引渡命令の法的性質が債務名義にあたるか、あるいは単なる執行の方法(執行処分)に留まるかが問題となる。
規範
引渡命令は、債務名義(民事執行法22条各号参照)としての性質を有するものではなく、あくまで執行の方法(執行官による執行手続の一環)としての性質を有するにすぎない。したがって、引渡命令によって自己の権利を侵害されたと主張する者は、執行異議(同法11条)等の手続によって不服を申し立てるべきであり、債務名義の執行力を争う第三者異議の訴え(同法38条)によることはできない。
重要事実
上告人は、不動産競売手続において発せられた引渡命令(旧競売法32条2項、旧民訴法687条に基づくもの)により、自己の占有権等が不当に侵害されたと主張した。上告人は、当該引渡命令に対して第三者異議の訴えを提起したが、原審は引渡命令の法的性質を理由に、同訴えの提起を認めなかったため、上告人が判断遺脱等を理由に上告した。
事件番号: 昭和45(オ)1072 / 裁判年月日: 昭和46年3月4日 / 結論: 棄却
競売法によつて準用される民訴法六八七条によつて発せられた不動産引渡命令は、債務名義ではなく執行方法にほかならず、右命令に対し第三者異議の訴を提起することは許されない。
あてはめ
本件引渡命令は、旧競売法により準用される旧民訴法687条に基づき発せられたものであるが、その法的性質は「債務名義」ではない。債務名義とは強制執行を認容する公的な文書を指すが、引渡命令は裁判所が競売手続の遂行として行う「執行の方法」としての判断にすぎない。第三者異議の訴えは、特定の債務名義の執行力を排除するための手続である。引渡命令が債務名義でない以上、これに対して第三者異議の訴えを提起する法的根拠はなく、執行異議の手続(旧民訴法544条)によるべきである。したがって、本件訴えは不適法といえる。
結論
引渡命令に対して第三者異議の訴えを提起することはできず、原審の判断は正当である。上告を棄却する。
実務上の射程
現行の民事執行法83条に基づく引渡命令においても同様に解される。実務上、引渡命令への不服申立ては、命令の発令自体に対しては執行抗告(同法83条5項)、命令の実施等に対しては執行異議(同法11条)による。本判例は、引渡命令の法的性質を確定させ、不服申立ての適切な手段を限定した重要な射程を持つ。
事件番号: 昭和35(オ)1183 / 裁判年月日: 昭和36年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧民事訴訟法687条2項(現行の民事執行法に基づく不動産競売における強制管理命令等に相当)に基づく管理命令は、目的物の引渡しを強制的に実現する効力を有しないため、当該命令に対する第三者異議の訴えは許されない。 第1 事案の概要:不動産競売手続における管理命令(旧民事訴訟法687条2項)が発せられた…