競売法によつて準用される民訴法六八七条によつて発せられた不動産引渡命令は、債務名義ではなく執行方法にほかならず、右命令に対し第三者異議の訴を提起することは許されない。
不動産引渡命令に対する不服申立の方法
競売法52条2項,民訴法687条2項,民訴法549条
判旨
不動産引渡命令は債務名義ではなく執行の方法にすぎないため、これに対して第三者異議の訴えを提起することは許されない。
問題の所在(論点)
不動産引渡命令に対して、第三者異議の訴え(民事執行法38条1項参照)を提起してその執行の排除を求めることができるか。
規範
第三者異議の訴え(民事執行法38条1項)は、債務名義の執行力に基づき特定の有体物に対して開始された強制執行の排除を目的とするものである。これに対し、不動産引渡命令は、それ自体が独立した債務名義ではなく、不動産競売手続における執行の方法にすぎない。したがって、独立した債務名義を前提とする第三者異議の訴えの対象とはなり得ない。
重要事実
不動産競売法(旧法)の適用を受ける競売事件において、裁判所が民事訴訟法(旧法)687条の準用に基づき不動産引渡命令を発した。これに対し、当該不動産について権利を主張する第三者が、引渡命令による執行の排除を求めて第三者異議の訴えを提起したものである。
あてはめ
本件における不動産引渡命令は、民事訴訟法(旧法)687条に基づき発せられたものであるが、その法的性質は「債務名義」ではなく、競売手続の一環として行われる「執行の方法」であると解される。第三者異議の訴えは、執行の基礎となる債務名義の執行力自体が及ばない第三者の権利を保護するための手段である。しかし、引渡命令は独立した債務名義としての性質を欠く以上、これに対する不服申し立ては執行に関する異議等の手続によるべきであり、第三者異議の訴えによってその効力を争うことは適当ではない。
結論
不動産引渡命令に対し、第三者異議の訴えを提起することは許されない。
実務上の射程
引渡命令に対する不服申立ては、執行抗告(民事執行法83条5項)や執行異議によるべきであり、第三者異議の訴えは不適法(却下事由)となる。現行法下でも引渡命令の法的性質は同様であり、射程は及ぶ。
事件番号: 昭和35(オ)1183 / 裁判年月日: 昭和36年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧民事訴訟法687条2項(現行の民事執行法に基づく不動産競売における強制管理命令等に相当)に基づく管理命令は、目的物の引渡しを強制的に実現する効力を有しないため、当該命令に対する第三者異議の訴えは許されない。 第1 事案の概要:不動産競売手続における管理命令(旧民事訴訟法687条2項)が発せられた…