判旨
旧民事訴訟法687条2項(現行の民事執行法に基づく不動産競売における強制管理命令等に相当)に基づく管理命令は、目的物の引渡しを強制的に実現する効力を有しないため、当該命令に対する第三者異議の訴えは許されない。
問題の所在(論点)
旧民事訴訟法687条2項(現行制度下の強制管理における管理命令等に類する手続)に基づく管理命令に対し、第三者が第三者異議の訴えを提起し、その執行力の排除を求めることができるか。
規範
第三者異議の訴え(民事執行法38条参照)は、強制執行の目的物について、第三者がその執行の阻止を求める権利を有する場合に、執行力の排除を求めるものである。したがって、当該命令そのものに目的物の引渡しを強制的に実現する効力(執行力)が認められない場合には、第三者異議の訴えの対象とはなり得ない。
重要事実
不動産競売手続における管理命令(旧民事訴訟法687条2項)が発せられた際、当該不動産について権利を主張する第三者が、管理命令の執行を阻止するために第三者異議の訴えを提起した。原審は、当該管理命令には目的物引渡しの強制的実現をなし得る効力がないことを理由に、訴えを不適法と判断した。
あてはめ
旧民事訴訟法687条2項の管理命令は、管理人が不動産の収益を収受するための権限を付与するものではあるが、それ自体によって目的物の占有を強制的に剥奪し、管理人へ引き渡させる効力を有するものではない。強制的引渡しを伴わない以上、第三者の権利が執行力によって侵害される余地はなく、執行力の排除を目的とする第三者異議の訴えを認める必要性・許容性はないと解される。
結論
管理命令に基づき目的物の引渡しを強制的に実現することはできないため、これに対する第三者異議の訴えは許されない。
実務上の射程
本判決は、執行力のない命令や手続に対する第三者異議の訴えの適格性を否定するものである。現代の民事執行法下においても、強制管理や不動産収益執行において、管理命令自体が占有の強制移転を伴わない以上、同様の理屈が妥当する。実務上は、執行文の付与や引渡命令のように、直接的な執行力を伴う処分か否かを区別する際の指標となる。
事件番号: 昭和45(オ)1072 / 裁判年月日: 昭和46年3月4日 / 結論: 棄却
競売法によつて準用される民訴法六八七条によつて発せられた不動産引渡命令は、債務名義ではなく執行方法にほかならず、右命令に対し第三者異議の訴を提起することは許されない。