判旨
第三者異議の訴えは、強制執行の開始後、執行が終了するまでの間であれば適法に提起することができる。民法201条3項の規定(占有の訴えにおける本権主張の禁止)は、第三者異議の訴えには類推適用されない。
問題の所在(論点)
第三者異議の訴えを提起し得る時期的な限界はいつか。また、第三者異議の訴えにおいて、占有の訴えに関する民法201条3項の規定が類推適用されるか。
規範
第三者異議の訴えは、強制執行が開始され、かつ、その執行が終了する前であれば、適法に提起することができる。また、当該訴訟において民法201条3項(占有の訴えに関する制限規定)を類推適用すべきとする見解は採用されない。
重要事実
上告人らの委任に基づき強制執行が開始されたが、当該執行が終了していない段階において、被上告人が民事訴訟法549条(現行民事執行法38条)に基づく第三者異議の訴えを提起した。これに対し、上告人らは、本件訴訟にも民法201条3項の規定が類推適用されるべきであると主張して、訴えの適法性を争った。
あてはめ
本件における第三者異議の訴えは、記録によれば強制執行が開始された後、かつ執行が終了する前に提起されたことが明らかである。したがって、執行手続が継続中である以上、第三者による異議申し立ての時期的な適格性を満たしているといえる。また、民法201条3項を類推適用すべきとの主張は、第三者異議の訴えの法的性質に照らし、独自の法的見解に過ぎず採用できない。
結論
本件第三者異議の訴えは適法であり、民法201条3項の類推適用も認められない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
第三者異議の訴えの提起期間が「執行開始後から終了前」であることを明示した基礎的な判例である。答案上では、執行法上の救済手段の適法性を論じる際、特に執行終了の有無による訴えの利益の消滅を判断する基準として利用する。また、占有正権原を争う場面で民法等の他規定による制限を受けないことを確認する際にも参照し得る。
事件番号: 昭和32(オ)625 / 裁判年月日: 昭和36年5月26日 / 結論: 棄却
いわゆる断行の仮処分として板塀の一部分が撤去され、執行が終了した場合には、右板塀の所有権に基づく第三者異議の訴は許されない。
事件番号: 昭和32(オ)613 / 裁判年月日: 昭和32年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第三者異議の訴えは、強制執行が終了した後は許容されない。既に執行が完了している場合には、執行を阻止する目的を達することができないため、訴えの利益が認められない。 第1 事案の概要:上告人Aが賃借している家屋に対し、訴外Dに対する債務名義に基づいて強制執行がなされた。Aは、当該強制執行が違法であると…