いわゆる断行の仮処分として板塀の一部分が撤去され、執行が終了した場合には、右板塀の所有権に基づく第三者異議の訴は許されない。
いわゆる断行の仮処分と第三者異議の訴。
民訴法549条,民訴法760条
判旨
強制執行が終了し、目的物の撤去等が完了した場合には、もはやその執行の排除を求めるべき対象が存在しないため、第三者異議の訴えを提起することはできない。
問題の所在(論点)
強制執行が完了して終了した後に、当該執行の排除を求める第三者異議の訴えを提起することができるか。
規範
第三者異議の訴え(民事執行法38条1項参照)は、特定の強制執行の排除を目的とする訴えである。したがって、強制執行が既に終了した場合には、訴えの利益が消滅し、当該訴えを提起または維持することは認められない。
重要事実
債権者(被上告人)は、仮処分決定に基づき、執行吏をして本件板塀の一部を撤去させる強制執行を完了させた。これに対し、第三者(上告人)が当該執行の排除を求めて第三者異議の訴えを提起した。
あてはめ
本件では、東京地方裁判所所属の執行吏によって本件板塀の撤去がなされ、仮処分の執行は既に終了している。第三者異議の訴えは、執行の目的物に対して強制執行が継続していることを前提にその排除を求めるものであるが、撤去という事実的状態が完了した以上、排除すべき執行手続が存続しているとはいえない。
事件番号: 昭和32(オ)613 / 裁判年月日: 昭和32年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第三者異議の訴えは、強制執行が終了した後は許容されない。既に執行が完了している場合には、執行を阻止する目的を達することができないため、訴えの利益が認められない。 第1 事案の概要:上告人Aが賃借している家屋に対し、訴外Dに対する債務名義に基づいて強制執行がなされた。Aは、当該強制執行が違法であると…
結論
強制執行が終了した場合には、第三者異議の訴えをもってその執行の排除を求めることはできない。
実務上の射程
強制執行の「終了」の時期が判断のポイントとなる。本判決は物の撤去という作為を伴う執行について、その完了により訴えの利益が失われることを明確にしたものである。実務上、不当執行への救済は、執行終了後は損害賠償請求や不当利得返還請求等の事後的な金銭賠償へと移行することになる。
事件番号: 昭和32(オ)419 / 裁判年月日: 昭和35年5月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第三者異議の訴えは、強制執行の開始後、執行が終了するまでの間であれば適法に提起することができる。民法201条3項の規定(占有の訴えにおける本権主張の禁止)は、第三者異議の訴えには類推適用されない。 第1 事案の概要:上告人らの委任に基づき強制執行が開始されたが、当該執行が終了していない段階において…
事件番号: 昭和38(オ)298 / 裁判年月日: 昭和39年5月7日 / 結論: 棄却
第三者異議の訴の係属中に、執行債権者において当該差押物件が執行債務者の責任財産に属しないことを承認して強制執行の取消を求め、差押が解除された場合には、特別の事情のないかぎり、右訴の利益は失われる。