競落許可決定確定後代金支払期日指定前に強制執行停止決定正本が提出された場合であつても、執行裁判所は配当手続を除くじ後の手続を停止するべきではない。
競落許可決定確定後における強制執行停止決定と競売手続
民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)550条,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)686条
判旨
仮執行宣言付判決による不動産競売において、売却許可決定(競落許可決定)が確定した後に強制執行停止決定が提出された場合、代金納付等の所有権取得に向けた手続を停止することは許されない。
問題の所在(論点)
仮執行宣言付判決に基づく不動産競売において、売却許可決定の確定後に執行停止決定が提出された場合、代金受領や登記嘱託等の手続を停止すべきか。
規範
不動産競売において売却許可決定が確定すると、実体法上の売買が確定的に成立し、買受人(競落人)は代金支払により所有権を取得できる地位を確保する。したがって、執行停止決定の提出は、配当手続を除く「代金支払期日の指定」「代金受領」「所有権移転登記の嘱託」等の手続を停止させる効力を有しない。
重要事実
債権者が仮執行宣言付判決を債務名義として不動産競売を申し立て、被上告人がこれを競落し、売却許可決定が確定した。その後、債務者(上告人)が控訴に伴う強制執行停止決定正本を執行裁判所に提出したが、執行裁判所は手続を停止せず、被上告人から代金を受領し、所有権移転登記の嘱託手続を完了させた。債務者は、執行停止決定後のこれらの手続は違法であると主張して争った。
事件番号: 昭和56(オ)553 / 裁判年月日: 昭和57年9月10日 / 結論: 破棄差戻
競売手続停止の仮処分に違反して競売手続が続行された場合であつても、競落代金が支払われて競売手続が完了したときは、仮処分債権者は、競落不動産についての競落人の所有権の取得を否定することができない。
あてはめ
売却許可決定の確定により、被上告人は代金を支払えば所有権を取得できるという実体法上の地位を確定的に得ている。代金受領や登記嘱託といった手続は、買受人のために確保されたこの地位を具体的に実現するプロセスである。これらを停止することは、既に確定した買受人の地位を不当に左右することになり、民事執行手続の安定性を害するため、停止の対象とはならないと解される。本件で執行裁判所が代金を受領し登記手続を進めたことは、適法な手続の執行である。
結論
売却許可決定確定後の執行停止決定の提出によっても、代金納付や登記嘱託等の手続は停止されない。したがって、執行裁判所の措置に違法はない。
実務上の射程
民事執行法上の執行停止事由(同法39条1項等)が、競売手続のどの段階まで有効に機能するかを画する射程を持つ。売却許可決定の確定という「買受人の地位が固定された時点」を基準として、それ以降の停止の効力を限定する実務上の重要な指針となる。
事件番号: 昭和45(オ)890 / 裁判年月日: 昭和46年2月25日 / 結論: 棄却
抵当権の実行のための競売開始決定が所有者に対して送達されないかしがあつても、競落許可決定が確定すれば、右かしを理由として同決定の無効を主張することは許されない。
事件番号: 昭和31(オ)376 / 裁判年月日: 昭和32年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者間において、一定の債務を履行しないときに他の給付をもって弁済に充てる旨の合意がなされた場合、それが代物弁済の予約ではなく、停止条件付代物弁済の契約として成立することを肯定した。 第1 事案の概要:上告人と相手方との間で、ある債務の弁済に関連して、本件物件を代物弁済に充てる旨の契約が締結された…
事件番号: 昭和46(オ)1015 / 裁判年月日: 昭和47年12月26日 / 結論: 棄却
更生担保権の届出がなされても、更生担保権確定の訴が、民訴法二三八条により取り下げられたものとみなされたときは、右届出は、時効中断の効力を生じないと解すべきである。
事件番号: 昭和46(オ)503 / 裁判年月日: 昭和49年10月23日 / 結論: 破棄差戻
一、債権者が、金銭債権の満足を確保するために、債務者との間にその所有の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約又は売買予約により、債務の不履行があつたときは債権者において右不動産の所有権を取得して自己の債権の満足をはかることができる旨を約し、かつ、停止条件付所有権移転又は所有権移転請求権保全の仮登記をしたと…