後順位担保権者の申立による不動産競売手続が開始されている場合であつても、仮登記担保権者に優先する他の担保権者が存在せず、かつ、換価時における目的不動産の価格が仮登記担保権者の有する仮登記担保権の被担保債権額及び右後順位担保権者に優先する他の担保権の被担保債権額の合計額を超えないなど、原判示の事実関係のもとにおいては、仮登記担保権者のした仮登記に基づく本登記手続の承諾請求及び右本登記を条件とする不動産明渡請求は許される。
後順位担保権者の申立による不動産競売手続が開始されている場合において仮登記担保権者によつて提起された仮登記に基づく本登記手続の承諾請求及び右本登記を条件とする不動産明渡請求が許された事例
民法369条,不動産登記法2条,不動産登記法7条2項,不動産登記法105条
判旨
仮登記担保権者は、債務者等に対し、自己固有の権利実行手続として、仮登記に基づく本登記手続への承諾及び不動産の明渡しを求めることができる。
問題の所在(論点)
仮登記担保権者が、債務者等に対して、本登記手続の承諾および不動産の明渡しを請求することに正当な法的利益が認められるか(権利実行手続としての許容性)。
規範
仮登記担保権者は、担保権の実行として、債務者等に対し、仮登記に基づき本登記手続への承諾を求める権利、及び本登記がなされることを条件として不動産の明渡しを求める権利を有する。
重要事実
仮登記担保権を有する被上告人が、上告人(債務者等)に対し、自己固有の権利実行手続として、本件仮登記に基づく本登記手続の承諾、および当該本登記がなされた際の不動産明渡しを求めて提訴した。
事件番号: 昭和46(オ)503 / 裁判年月日: 昭和49年10月23日 / 結論: 破棄差戻
一、債権者が、金銭債権の満足を確保するために、債務者との間にその所有の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約又は売買予約により、債務の不履行があつたときは債権者において右不動産の所有権を取得して自己の債権の満足をはかることができる旨を約し、かつ、停止条件付所有権移転又は所有権移転請求権保全の仮登記をしたと…
あてはめ
被上告人の請求は、本件仮登記担保権による自己固有の権利実行手続としての性質を有する。昭和49年10月23日大法廷判決の趣旨に照らせば、このような手続は正当な法的利益があるものとして許容されるべきである。
結論
被上告人の請求は正当な法的利益があるものとして許される。したがって、本登記手続への承諾および不動産の明渡し請求は認容されるべきである。
実務上の射程
仮登記担保契約に関する法律(仮担法)施行前の事案であるが、仮登記担保権者が私的実行として本登記・引渡しを求める訴えの利益を認めた実務上重要な判決である。答案上は、仮登記担保の実行手続における請求権の根拠として援用する。
事件番号: 昭和44(オ)486 / 裁判年月日: 昭和47年7月6日 / 結論: その他
登記簿上後順位の抵当権者またはいわゆる仮登記担保権者であつた者でも、先順位の仮登記担保権者から不動産登記法一〇五条に基づく本登記手続承諾請求を受けた当時、すでに他にその登記につき附記登記による権利移転の登記を経由した者は、特段の事情のない限り、登記原因たる実体上の権利に基づき、仮登記担保権者に対して清算金を受けるべき地…
事件番号: 昭和46(オ)213 / 裁判年月日: 昭和46年6月11日 / 結論: 棄却
甲が、乙との間に、農地法五条所定の知事の許可を条件として乙所有の農地を買い受ける契約をし、これに基づいて所有権移転請求権保全の仮登記を経由し、次いで右売買契約上の買主たる地位を丙に譲渡して、右仮登記につき丙への移転の附記登記をした場合において、丙が、右譲渡につき乙の承諾を得、乙との間に、乙において丙のため宅地転用の許可…
事件番号: 昭和37(オ)1410 / 裁判年月日: 昭和39年2月13日 / 結論: 棄却
所有権転移仮登記の権利者が、仮登記後所有権取得登記を経た第三者に対し、右登記の抹消登記手続を請求した場合、裁判所が、仮登記に基づく本登記手続につき承諾を命ずる判決をしても、民訴法第一八六条に違反しない。
事件番号: 昭和36(オ)1377 / 裁判年月日: 昭和37年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において初めて予備的請求を追加・申立てることは、当事者の審級の利益を奪うものではなく、適法である。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、上告人(被告)に対し、本件建物に関する権利を主張して訴えを提起した。第一審の判断を経て、控訴審(原審)において初めて予備的請求の申立てを行ったところ、原審…