統一手形用紙による約束手形の表面の振出日欄と振出地欄との行間に、ゴム印様のもので押捺された約二ミリメートル大の不動文字からなる「裏書譲渡禁ず」との文言が幅一・二センチメートルにわたり横書で記入されているときは、裏書禁止文句の記載があると認めて妨げない。
手形の表面に裏書禁止文句の記載があるとされた事例
手形法11条
判旨
手形表面の振出日欄と振出地欄の間にゴム印で「裏書譲渡禁ず」と記載されている場合、当該記載は有効な裏書禁止文句として認められる。
問題の所在(論点)
手形法11条2項に基づき、手形表面の振出日と振出地の間にゴム印で記載された「裏書譲渡禁ず」との文言が、有効な裏書禁止文句の記載に該当するか。
規範
手形法11条2項にいう「裏書を禁ずる」旨の記載の有効性は、手形の外面から客観的にその文言が認識できるか否かによって判断される。記載の場所が振出日・振出地付近であっても、それが手形文面上の記載として存在し、かつ裏書禁止の趣旨が明確であれば、同項の記載として効力を有する。
重要事実
本件各手形の表面には、振出日欄と振出地欄との行間に、ゴム印によって約2ミリメートル大の不動文字による「裏書譲渡禁ず」との文言(幅約1.2センチメートルの横書き)が押捺されていた。当該記載が裏書禁止文句として有効か否かが争点となった。
あてはめ
本件では、手形の表面という、手形所持人が容易に認識し得る場所に「裏書譲渡禁ず」という明確な文言が記載されている。不動文字のゴム印による押捺という形態は、手形行為の一環として確実になされたものと客観的に評価できる。また、振出日と振出地の間という記載場所は、手形文面の枢要な部分を構成する箇所であり、手形の流通を制限する意思表示として外部から明確に認識可能といえる。したがって、当該記載は手形法上の裏書禁止の効力を生じさせるのに十分な記載であると解される。
結論
本件各手形には有効な裏書禁止文句の記載がある。したがって、振出人は裏書人に対して有する抗弁をもって、裏書人から譲渡を受けた所持人に対抗することができる。
実務上の射程
裏書禁止手形の成否に関する判断基準を示した。手形表面であれば、所定の場所以外であっても、客観的に裏書禁止の意思が読み取れる記載があれば有効となる。答案上は、手形外観の客観的解釈の原則(手形文言証券性の原則)の具体例として、記載場所や手法の有効性を検討する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和57(オ)1382 / 裁判年月日: 昭和60年3月26日 / 結論: 棄却
約束手形の取立委任裏書を受けてこれを所持している者が、裏書人との間で当該手形の譲渡を受ける旨の合意をして、後日右裏書中の取立委任文言を抹消しても、右裏書が譲渡裏書としての効力を生ずるのは、取立委任文言の抹消の時からであつて、譲渡の合意の成立時に遡つてその効力を生ずるものではない。