約束手形の受取人「D商品株式会社」と第一裏書人「D商品株式会社E」との間には裏書の連続がある。
手形の裏書の連続があるとされた事例
手形法16条1項,手形法77条
判旨
手形の受取人と第一裏書人の名称が完全に同一でない場合であっても、両者が同一の主体を指すと認められるときは、裏書の連続が認められる。
問題の所在(論点)
手形法16条1項にいう「裏書の連続」の判断において、受取人の名称と第一裏書人の名称が一部異なる場合に、形式的な不一致をもって直ちに裏書の連続を否定すべきか、あるいは同一性が認められる限り連続を肯定すべきかが問題となった。
規範
裏書の連続(手形法16条1項)の有無は、手形上の記載を客観的に解釈して判断される。受取人の名称と第一裏書人の名称に形式的な相違がある場合でも、その記載内容や付記された肩書等から両者の同一性が認められるときは、裏書の連続を肯定すべきである。
重要事実
本件手形の受取人は「D商品株式会社」と記載されていたが、第一裏書人の欄には「D商品株式会社E」と記載されていた。この「E」が何を指すか、あるいは単なる肩書等の付記であるかについて争いが生じたが、原審は両者の間に同一性を認め、裏書の連続があるものと判断した。
あてはめ
本件において、受取人「D商品株式会社」と第一裏書人「D商品株式会社E」の記載を対照すると、基本となる商号部分は共通している。末尾の「E」の具体的な意味内容は判決文からは不明であるが、原審が適法に確定した事実関係に基づけば、この付記は同一主体であることを妨げるものではなく、社会通念上、受取人が裏書人として署名したものと認められる。したがって、形式的な不一致は裏書の連続を断絶させるものではないと評価される。
結論
受取人と第一裏書人の間に同一性が認められるため、裏書の連続は認められ、所持人は適法な所持人と推定される。
実務上の射程
手形文面上、名称にわずかな相違があっても、同一主体であると合理的に解釈できる場合には裏書の連続を認める実務上の指針となる。答案上は、裏書の連続の有無を検討する際、外観判断の原則を前提としつつ、名称の末尾に代表者の氏名や役職名、あるいは支店名などが付記されているケースにおける同一性判断の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和43(オ)899 / 裁判年月日: 昭和43年12月17日 / 結論: 棄却
約束手形の受取人として「D株式会社」と記載され、第一裏書人として「E株式会社」と記載されているときは、裏書の連続があると解することができる。