手形の裏書の連続ありとするには、第一裏書における被裏書人と第二裏書の裏書人が同一人であることが表示されて居ればよいのであつて、右被裏書人と裏書人の表示が一字一句同じでなければならないものではない。
手形の裏書の連続のための被裏書人および裏書人の表示方法
手形法77條1項1号
判旨
手形の裏書の連続が認められるためには、前後の裏書における被裏書人と裏書人が同一人であることが表示されていれば足り、その表示が一字一句同じである必要はない。
問題の所在(論点)
手形法14条1項にいう「裏書の連続」が認められるための要件として、前後の裏書における名義人の表示が厳密に一致している必要があるか。
規範
手形法上の裏書の連続(14条1項)が認められるためには、第一裏書の被裏書人と第二裏書の裏書人とが同一人であることが客観的に表示されていれば足りる。その表示は、文言上一字一句同一であることを要せず、記載の態様から合理的に同一性が判断できれば、裏書の連続を肯定すべきである。
重要事実
本件手形において、第一裏書の被裏書人欄に「D食品工業株式会社E」と記載され、これに続く第二裏書の裏書人として「E」が表示されていた。上告人は、第一裏書の被裏書人の表示は「D食品工業株式会社」と「E」の二名を指すものであり、第二裏書には同社が裏書人として表示されていないため、裏書の連続が欠如していると主張した。
あてはめ
第一裏書の「D食品工業株式会社E」という記載は、その記載態様からして、二名の被裏書人を並記したものではなく、むしろ「D食品工業株式会社の代表者E」を表示したものと解するのが相当である。そうであれば、第一裏書の被裏書人と、それに続く第二裏書の裏書人とは同一の主体であることが示されているといえる。したがって、表示上の厳密な一致がなくても、権利移転の連鎖は外観上遮断されていないと評価される。
結論
裏書の連続ありとなすには、前後の表示が同一人であることを示していればよく、一字一句同じでなくとも裏書の連続は認められる。
実務上の射程
裏書の連続の有無を判断する際、形式的資格の付与という趣旨から厳格な一致を求める傾向があるが、本判決は外観から合理的に同一性が認められる範囲で柔軟な認定を許容する。実務上は、商号と代表者名が併記された場合の同一性判断の基準として機能する。
事件番号: 昭和43(オ)899 / 裁判年月日: 昭和43年12月17日 / 結論: 棄却
約束手形の受取人として「D株式会社」と記載され、第一裏書人として「E株式会社」と記載されているときは、裏書の連続があると解することができる。