米軍基地撤去要求運動に参加した際、警備の警察官の職務を妨害した日本国有鉄道職員に対し日本国有鉄道法三一条一項に基づいてされた懲戒免職は、右所為につき懲役五月執行猶予一年の有罪判決が確定し、右所為が傷害罪を伴う公務執行妨害罪にあたる軽視しえない犯罪行為で、単に偶然的なものとはいえないなど原判示の事情があるときは、懲戒権の濫用にはあたらない。
日本国有鉄道職員に対する懲戒免職が懲戒権の濫用にあたらないとされた事例
日本国有鉄道法31条
判旨
使用者の行う懲戒免職処分が、諸般の事情に照らして懲戒権の濫用にあたらない場合には、当該処分は有効である。
問題の所在(論点)
使用者が行う労働者に対する懲戒免職処分が、懲戒権の濫用(労働契約法15条、旧法下では民法1条3項等)にあたり無効となるか。
規範
懲戒権の行使は、使用者が企業秩序を維持するために認められる権限であるが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利の濫用として無効となる(労働契約法15条参照)。判断に際しては、事案の性質、態様、労働者の過去の勤務成績、反省の状況、さらに過去の同種事例との均衡等を総合的に考慮し、処分が重きに失しないかを検討すべきである。
重要事実
本件における具体的な事案の性質や労働者の属性、具体的な問題行動等の事実関係については、判決文からは不明。ただし、原審においてはこれらの事情を適法に確定した上で、被上告人が上告人に対して行った「懲戒免職」の適法性が争われた。上告人はこの処分が不当であると主張したが、原審は懲戒権の濫用にはあたらないと判断した。
事件番号: 昭和41(行ツ)40 / 裁判年月日: 昭和43年2月16日 / 結論: 棄却
教育長専決規程(昭和三一年福島県教育委員会訓令第二号)に基づき、教育長が専決した教育委員会の権限に属する教員の分限免職処分は違法ではない
あてはめ
本件判決文では詳細な事実関係が引用されていないため、具体的なあてはめの過程は「判決文からは不明」であるが、最高裁は原審が確定した事実関係を前提として、懲戒権の濫用にはあたらないとした判断を「正当として是認できる」とした。これは、原審における事実認定において、当該労働者の行為が企業秩序を著しく乱すものであり、かつ処分の選択が社会通念上相当な範囲内にとどまっていたことを、最高裁が法的な観点から肯定したものであるといえる。
結論
本件懲戒免職は懲戒権の濫用にあたらず、有効である。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
本件は、懲戒権の行使(特に最も重い懲戒免職)に関する司法審査において、原審の裁量を尊重しつつ、具体的な権利濫用の有無を判断する実務上の基本的な姿勢を示している。答案作成上は、本判例の一般的枠組みを前提に、具体的な事案の個別的事情(違反行為の重大性、情状等)を評価することが求められる。
事件番号: 昭和55(オ)617 / 裁判年月日: 昭和58年11月1日 / 結論: 棄却
工場内において従業員が会社の許可を得ないでした特定の政党の機関紙及び選挙法定ビラの配布につき、それが、休憩時間に、休憩室を兼ねている工場食堂において、食事中の従業員数人に一枚ずつ平穏に手渡し、他は食卓上に静かに置くという方法で行われ、配布に要した時間も数分間であつたなど、判示のような事情があるときは、右ビラ配布行為は、…
事件番号: 平成26(受)1310 / 裁判年月日: 平成27年2月26日 / 結論: 破棄自判
会社の管理職である男性従業員2名が同一部署内で勤務していた女性従業員らに対してそれぞれ職場において行った性的な内容の発言等によるセクシュアル・ハラスメント等を理由としてされた出勤停止の各懲戒処分は,次の(1)~(4)など判示の事情の下では,懲戒権を濫用したものとはいえず,有効である。 (1) 上記男性従業員らは,①うち…