夏季一時金の算定の基礎となる出勤率を計算する場合にストライキによる不就労を欠勤と扱うべきか否かについて労使間の合意や慣行は成立していなかつたが、組合がはじめてストライキを実施したところ、使用者は右ストライキによる不就労を通常の欠勤と同一に取り扱つたなど判示の事実関係のもとにおいては、使用者の右措置は労働組合法七条一号の不当労働行為にあたる。 (反対意見がある)
夏季一時金算定の基礎となる出勤率を計算するにあたりストライキによる不就労を欠勤として扱つた措置が労働組合法七条一号の不当労働行為にあたるとされた事例
労働組合法7条1号
判旨
労働組合活動としてのビラ配布に対する警告や、ストライキによる不就労を賞与算定上の欠勤として扱う措置は、使用者の反組合的意図が認められ、組合活動の抑止・制裁を目的とする場合には、不当労働行為(労組法7条1号・3号)に該当する。
問題の所在(論点)
1. 正当な組合活動としてのビラ配布に対する警告行為が、支配介入(労組法7条3号)に該当するか。 2. 賞与算定においてストライキによる不就労を欠勤扱いとする措置が、不利益取扱い(同条1号)に該当するか。
規範
1. 組合活動に対する警告:組合活動がその態様・目的等に照らし、業務阻害や企業活動への特段の支障を生じさせない場合、これに対する警告行為は支配介入(労組法7条3号)を構成し得る。 2. ストライキ不就労の不利益取扱い:賞与算定において、ストライキによる不就労を通常の欠勤と同一に扱う措置は、労使間の合意や慣行がない状況下で、それが組合活動に対する制裁や嫌忌の意図に基づくものであるときは、不利益取扱い(同条1号)に該当する。
重要事実
(1)組合結成直後、分会長が団結を促すビラを配布したところ、会社は即日、就業規則違反として警告書を交付した。配布は業務に支障を来すものではなかった。(2)会社は従来、夏季賞与の出勤率算定から有給休暇等を除外していたが、初のストライキに際し、不就労分を通常の欠勤として扱い賞与を減額した。(3)会社は管理職を通じ組合脱退を勧告するなど、かねてより組合を嫌忌する態度を示していた。
事件番号: 昭和55(行ツ)40 / 裁判年月日: 昭和61年1月24日 / 結論: 棄却
相前後して結成された甲乙二つの労働組合が併存する会社において、各組合結成直前の年度の賞与においては後に甲乙各組合員となつた者らの平均人事考課率にほとんど差異がなかつたのに、各組合結成直後の年度の賞与においては甲組合員の人事考課率が乙組合員らのそれと比較して低く査定されその間に全体として顕著な差異が生じており、また、甲組…
あてはめ
1. ビラ配布は組合活動として重要であり、態様・目的等に照らし企業活動に支障を生じさせていない。これに対し即座に責任追及を明示する警告を行うことは、組合活動の威圧を目的とした支配介入といえる。 2. 賞与算定につき、ストライキ不就労を欠勤として扱う労使合意や慣行は存在しない。会社が従来の算定方式(有給除外等)と異なり敢えて欠勤扱いとしたのは、組合結成の嫌忌や脱退勧告を行っていた背景から、ストライキに対する制裁としてなされたものと評価される。したがって、正当な組合行為を理由とする不利益取扱いにあたる。
結論
本件警告行為および賞与の算定措置は、いずれも不当労働行為(労組法7条1号、3号)に該当する。
実務上の射程
ストライキ不就労の不利益取扱いの成否において、使用者の「反組合的意図(主観)」を重視して不当労働行為性を肯定している。ノーワーク・ノーペイの原則との関係では、賃金の控除を超えて「制裁」としての性質を帯びる場合に1号違反となりやすい。答案では、使用者の事前の組合嫌忌発言等の具体的事実を拾い、意図の有無を論証する際に本判例のロジックを活用すべきである。
事件番号: 平成3(行ツ)155 / 裁判年月日: 平成6年12月20日 / 結論: その他
一 私立学校の職員室内で、教職員が使用者の許可を得ないまま組合活動としてビラの配布をした場合において、右ビラが労働組合としての日ごろの活動状況等を内容とするもので、違法不当な行為をあおり又はそそのかすこと等を含むものではなく、右配布の態様も、就業時間前の通常生徒が職員室に入室する頻度の少ない時間帯にビラを二つ折りにして…
事件番号: 平成5(行ツ)141 / 裁判年月日: 平成7年4月14日 / 結論: その他
従来、時間外割増賃金及び深夜割増賃金を含むとの認識の下に水揚高に一定率を乗じた歩合による賃金を支払っていた使用者が、労働基準監督署から割増賃金部分を明確にするよう指導を受けたため、水揚高に従前の率を若干下回る率を乗じた金額を基礎給としこれに時間外割増賃金及び深夜割増賃金を加算して支払うことを内容とする賃金計算方法を採用…