いわゆる継続的保証契約に基づく連帯保証人に対する請求について、身元保証に関する法律五条の規定を類推適用して主債務額のうち一定限度の金額の支払を命じた本件前訴判決は、保証債務の額を減縮したものではなく、金額的な有限責任を定めた趣旨と解するのが相当である。
いわゆる継続的保証契約に基づく連帯保証人に対する請求を一部認容した前訴判決が金額的な有限責任を定めた趣旨であるとされた事例
民法454条,身元保証に関する法律5条
判旨
継続的保証において身元保証法5条が類推適用され、複数の保証人の責任限度額が個別に制限された場合、一人の保証人の弁済は、主債務が残存する限り、他の保証人の責任額に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
複数の連帯保証人の責任が判決により個別に制限された場合、一人の保証人による制限額の弁済が、他の保証人の責任(制限額)にどのような影響を与えるか。
規範
継続的保証について身元保証に関する法律5条を類推適用し、裁判所が諸般の事情を考慮して各保証人の責任を一定の金額の限度で制限した場合、その制限は個別の保証人ごとに責任の最大幅を定める趣旨であり、保証債務自体の額を全体として減縮させるものではない。したがって、一人の保証人が制限された自己の責任額を完済しても、主債務が残存している限り、他の保証人の責任は当然には消滅しない。
重要事実
主債務者Dが被上告人に対し約420万円の売買代金債務を負い、上告人と訴外Eがこれを連帯保証した。前訴判決は、継続的保証であることを理由に身元保証法5条を類推適用し、上告人とEの責任をそれぞれ50万円の限度に制限した。その後、Eが自己の責任額である50万円を完済したため、上告人は自己の保証債務も消滅したと主張して争った。
あてはめ
前訴判決による責任の制限は、各保証人の責任を「金額的な有限責任」として定める趣旨であり、主債務ないし保証債務自体の額を客観的に減縮したものではないと解される。本件において、Eが判決で定められた責任額を完済したとしても、依然として約370万円の主債務が残存している。そのため、上告人に対して個別に課された50万円の責任限度額については、Eの弁済によって消滅の効力が生じる余地はない。
結論
他の保証人が自己の責任制限額を完済しても、主債務が残存する限り、上告人の責任額(50万円の限度)に係る保証債務は消滅しない。
実務上の射程
継続的保証(根保証等)の責任制限に関する重要判例。身元保証法5条の類推適用により「責任の範囲」が画定された場合、それは各保証人の負担すべき「最大量」を個別的に決定したものにすぎない。共同保証人間の連帯関係よりも、各々の個別的な責任制限の趣旨を優先する構成をとるため、答案上は連帯債務の絶対的効力(弁済等)の適用範囲を限定的に解釈する際に用いる。
事件番号: 昭和32(オ)420 / 裁判年月日: 昭和34年6月25日 / 結論: 棄却
主たる債務者の委託を受けた保証人が将来免責行為をしたときに取得すべき求償権を担保する為に、主債務の額を極度額とする根抵当権が設定されていた場合、その保証人は、主債務の弁済期の到来後は、まだ免責行為をしてなくても、先順位抵当権による競売手続において極度額まで配当要求をなし得る。