相続人が数人いる場合には、民法九一五条一項に定める三か月の期間は、相続人がそれぞれ自己のために相続の開始があつたことを知つた時から各別に進行するものと解するのが相当である。
相続人が数人ある場合と相続放棄をすべき期間
民法915条,民法938条
判旨
相続人が数人いる場合における民法915条1項の熟慮期間は、各相続人が「自己のために相続の開始があったことを知った時」から個別に進行する。
問題の所在(論点)
共同相続人が複数存在する場合において、民法915条1項の熟慮期間(3か月)の起算点は、各相続人ごとに個別に判定されるべきか、あるいは共同相続人全員について一律に判定されるべきか。
規範
民法915条1項に定める3か月の熟慮期間は、相続人が数人いる場合には、各相続人がそれぞれ「自己のために相続の開始があったことを知った時」から各別に進行するものと解する。
重要事実
共同相続人が存在する事案において、一部の相続人については相続開始を知った時から3か月が経過していたが、他の相続人については依然として熟慮期間内であるか、あるいは知った時期が異なっていた。この場合において、熟慮期間が全相続人に対して一律に進行するのか、あるいは各相続人ごとに個別に進行するのかが争われた(具体的な時系列等の詳細は判決文からは不明)。
事件番号: 昭和41(オ)31 / 裁判年月日: 昭和41年9月6日 / 結論: 棄却
適式な判決言渡期日の指定告知を受けながら当事者が右期日に出頭しない場合に、言渡が延期されて次回期日が指定告知されたときは、その新期日につき告知の効力を生ずるものと解すべきである。
あてはめ
民法915条1項は、相続人が「自己のために」相続開始を知った時を起算点と定めている。この文言の趣旨は、相続を承認するか放棄するかを選択する機会を各相続人に保障する点にある。したがって、他の相続人が相続開始を知ったか否かにかかわらず、各相続人が個別に相続開始の事実及び自己が相続人となった事実を認識した時点を基準として、各人ごとに期間を計算すべきである。本件においても、相続人ごとに個別に期間の進行を認めた原審の判断は正当である。
結論
熟慮期間は各相続人について各別に進行する。したがって、一部の相続人の熟慮期間が経過していても、他の相続人の熟慮期間が経過していない場合には、当該相続人は有効に相続放棄等をすることができる。
実務上の射程
共同相続人の一人が先行して相続開始を知っていたとしても、他の相続人の熟慮期間には影響しない。答案上では、一部の相続人による放棄の有効性を検討する際、その者自身の認識時期を基準に915条1項の期間を起算すべき根拠として本判例を引用する。
事件番号: 平成9(オ)1771 / 裁判年月日: 平成11年10月21日 / 結論: 棄却
後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない。
事件番号: 昭和26(オ)88 / 裁判年月日: 昭和29年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法541条に基づく解除のための催告期間が不相当に短い場合であっても、催告後の相当期間が経過すれば解除の効力が発生する。 第1 事案の概要:上告人は、相手方に対して本件契約の履行を求めて催告を行ったが、その際に定めた期間が「不相当」であるとして、解除の効力が争われた。原審は、当該期間経過後、客観的…
事件番号: 平成12(受)1589 / 裁判年月日: 平成15年10月31日 / 結論: 破棄自判
取得時効の援用により不動産の所有権を取得してその旨の登記を有する者は,当該取得時効の完成後に設定された抵当権に対抗するため,その設定登記時を起算点とする再度の取得時効の完成を主張し,援用をすることはできない。
事件番号: 昭和47(オ)723 / 裁判年月日: 昭和50年11月21日 / 結論: 棄却
物上保証人に対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者に告知した場合には、被担保債権についての消滅時効は中断する。