適式な判決言渡期日の指定告知を受けながら当事者が右期日に出頭しない場合に、言渡が延期されて次回期日が指定告知されたときは、その新期日につき告知の効力を生ずるものと解すべきである。
当事者双方不出頭の場合に延期された判決言渡期日の告知
民訴法207条,民訴法190条
判旨
指名債権の譲渡につき、債務者が債権譲渡の事実を承諾した以上は、仮に債権譲渡通知の手続に瑕疵があったとしても、債権譲受人は債務者に対して当該債権の譲受を対抗することができる。
問題の所在(論点)
指名債権譲渡において、通知手続に瑕疵がある一方で、債務者が譲渡を承諾していた場合、譲受人は債務者に対して対抗要件を具備したといえるか(民法467条1項の解釈)。
規範
民法467条1項が定める債権譲渡の対抗要件(通知または承諾)は、譲渡の事実を債務者に認識させ、二重払い等の危険を防止する点にある。したがって、債務者が債権譲渡を適法に「承諾」した以上は、別個の対抗要件である「通知」の手続に瑕疵があったとしても、対抗要件としての効力は妨げられない。
重要事実
債権者である訴外D外5名が、被上告人に対し、債務者(上告会社)に対する債権を譲渡した。上告会社の代表者は、被上告人の代理人との間で、本件債権譲渡を承認し、さらに当該譲受債権(他の債権を含む計140万円)を担保するために本件不動産に抵当権を設定することを協議・合意した。その後、譲渡通知の手続上の瑕疵を理由に、上告会社が債権譲渡の対抗力を争った。
事件番号: 昭和32(オ)416 / 裁判年月日: 昭和33年10月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の所有権移転登記および抵当権設定登記が本人の承諾に基づいてなされた場合には、当該登記は有効であり、意思に基づかない無効な登記であると主張することはできない。 第1 事案の概要:上告人は、本件不動産についてなされた所有権移転登記および抵当権設定登記が自らの意思に基づかない無効なものであると主張…
あてはめ
本件において、上告会社(債務者)は被上告人に対する債権譲渡を自ら承認している。さらに、譲受債権を担保するための抵当権設定についても合意し、実際に代理人を通じて設定契約書に押捺するなど、譲渡の事実を前提とした明確な承諾の意思表示を行っている。このように債務者が譲渡の事実を認識し、これを承諾した事実が認められる以上、通知手続の是非を問わず、対抗要件は備わったものと評価される。
結論
債務者が債権譲渡を承諾した以上、通知の瑕疵にかかわらず、譲受人は債務者に対し債権譲渡を対抗できる。
実務上の射程
通知と承諾が選択的な対抗要件であることを確認する判例である。答案上は、通知の有効性に疑義がある事案において、債務者の言動から「承諾」の存否を検討する際の根拠として活用できる。また、抵当権設定の協議などの周辺事実が承諾の認定を基礎付ける事情となる点も実務上重要である。
事件番号: 昭和40(オ)583 / 裁判年月日: 昭和42年10月27日 / 結論: 棄却
無権代理人の偽造文書による申請に基づいて登記がされた場合においても、本人が右登記の原因たる法律行為を追認したことによりその登記の記載が実体的法律関係に符合するにいたつたときには、本人は、右登記の無効を主張してその抹消登記手続を請求することはできない。
事件番号: 昭和39(オ)321 / 裁判年月日: 昭和40年2月19日 / 結論: 棄却
昭和三三年一二月一六日の抵当権設定契約を原因とする登記の記載が昭和三三年一〇月一五日付抵当権設定契約に因るものとされていても、右の程度の相違は登記の無効をきたさない。
事件番号: 昭和45(オ)4 / 裁判年月日: 昭和46年3月25日 / 結論: 棄却
指名債権譲渡の通知は、右債権の譲渡人、その包括承継人またはそれらから委任を受けた者がなすべきで、右債権の譲受人が委任を受けないで事務管理として右譲渡の通知をしても、債権譲渡の通知の効力を生じない。
事件番号: 昭和38(オ)261 / 裁判年月日: 昭和39年3月24日 / 結論: 棄却
合資会社の社員が、第三者の債務につき、会社を代表して連帯保証契約を締結し、会社財産を担保にする行為は、たとえ右社員が右第三者の債務負担につき代理人として関与した場合であつても、商法第七五条にいう「取引」にあたらない。