一、認知により法律上の親子関係が発生するには血縁関係にある父又は母においてその子を認知することを要し、そうではない者を戸籍上嫡出子として届け出ても、それにより認知の効力を生ずるものではない。 二、戸籍上嫡出子の届出がされている場合であつても、財産上の紛争に関する先決問題として、その訴訟において父子関係の不存在を審理確定することは妨げない。
一、虚偽の嫡出子出生届と認知の効力 二、戸籍上嫡出父子関係がある場合に戸籍訂正なくして父子関係の存在を否定できるか
民法779条,戸籍法116条
判旨
血縁関係のない者を嫡出子として届け出ても認知の効力は生じず、財産上の紛争に関する先決問題として訴訟において父子関係の不存在を審理確定することは妨げられない。
問題の所在(論点)
血縁関係のない子を嫡出子として届け出た場合に認知の効力が認められるか。また、嫡出子としての届出がある場合に、人事訴訟手続を経ることなく、財産上の紛争に関する訴訟において先決問題として父子関係の不存在を審理・確定できるか。
規範
認知により法律上の親子関係が発生するには、血縁関係にある父又は母が認知することを要する。血縁関係のない者を戸籍上嫡出子として届け出ても、認知としての効力を生ずることはない。また、戸籍上の届出がある場合でも、財産上の紛争に関する先決問題として、その訴訟において父子関係の不存在を審理確定することは可能である。
重要事実
上告人は、亡Dと妻Eとの間の嫡出子として戸籍上に届け出られていたが、実際にはDとの間に血縁上の父子関係は存在しなかった。この状況下で、Dと上告人との間の父子関係の有無が、財産上の紛争(詳細は判決文からは不明)の先決問題として争点となった。
あてはめ
本件において、上告人はDの嫡出子として届け出られているが、Dとの間に実親子の血縁関係が存在しないことが適法に確定されている。認知は真実の血縁関係を前提とするものである以上、血縁のない者を対象とした届出によって父子関係が形成されることはなく、認知の効力も生じない。したがって、当該届出をもって法律上の親子関係を認めることはできない。また、本件は財産上の紛争を解決する過程で父子関係の存否が問題となっているため、当該訴訟内で実体的な父子関係の欠如を認定することは許容される。
結論
血縁関係のない嫡出子届出に認知の効力は認められず、財産上の紛争の先決問題として父子関係の不存在を認定することができる。
実務上の射程
非嫡出子を嫡出子として届け出た場合に認知の効力を認める「届出による認知」の法理が、血縁関係がない場合には適用されないことを明示した。答案上では、親子関係の存否が相続等の財産訴訟の前提となる際、人事訴訟を経ずとも実体判断が可能である根拠として活用できる。
事件番号: 昭和30(オ)545 / 裁判年月日: 昭和35年3月11日 / 結論: 棄却
一 原告の権利を否認する被告において、その権利を第三者の権利であると主張するときでも、その結果原告の権利者としての地位に危険を及ぼす虞が現に存する場合は、その被告に対し権利の確認を求める利益があると解すべきである。 二 券面額のある金銭債権にあたらない権利を目的として発せられた転付命令は、実体法上その内容にそう権利移転…
事件番号: 昭和24(オ)97 / 裁判年月日: 昭和25年12月28日 / 結論: 棄却
一 子でない者が戸籍上嫡出子として記載されている場合に、その記載が親の虚偽の嫡出子出生届に基くものであるからといつて、その親の親子関係不存在の主張が禁止されることはない。 二 養子とする意図で他人の子を嫡出子として届けても、それによつて養子縁組が成立することはない。 三 父母一方の死亡後は、生存者単独で嫡出親子関係不存…
事件番号: 平成15(受)1153 / 裁判年月日: 平成16年7月6日 / 結論: 棄却
共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,固有必要的共同訴訟である。
事件番号: 昭和50(オ)878 / 裁判年月日: 昭和54年7月10日 / 結論: 破棄差戻
一 旧民法下の遺産相続による共同相続人の一人甲が、相続財産のうち自己の本来の相続持分を超える部分について他の共同相続人乙の相続権を否定し、その部分もまた自己の相続持分に属すると称してこれを占有管理し、乙の相続権を侵害しているため、乙が右侵害の排除を求める場合には、相続回復請求権の規定の適用があるが、甲においてその部分が…