原審確定の事実関係(原判決参照)のもとにおいて、建物新築による不動産工事の先取特権保存の登記につき建物の所在地番を更正することは、登記の同一性を失わしめるものとして許されない。
建物新築による不動産工事の先取特権保存の登記につき建物の所在地番の更正が許されないとされた事例
民法338条,不動産登記法63条,不動産登記法136条
判旨
更正登記が許容されるためには、更正前後の登記の間に同一性が認められる必要がある。
問題の所在(論点)
不動産登記法上、更正登記が認められるための限界はどこにあるか。具体的には、更正前後の登記内容に「同一性」が求められるかどうかが問題となる。
規範
更正登記は、登記の完了後に登記事項の一部について錯誤または遺漏がある場合に、これを是正することを目的とするものである。したがって、更正登記が認められるためには、更正前の登記と更正後の登記との間に「同一性」が保持されていることが必要である。同一性が失われるような実質的な変更を伴う更正は、登記制度の趣旨に反し許容されない。
重要事実
上告人は、既に完了している登記について、更正登記の手続きを申請した。しかし、当該更正登記の内容は、更正前の表示事項等と比較して、客観的に別個の物や権利関係を指し示すものであった。原審はこの事実に基づき、更正前後の同一性が失われていると判断して申請を却下し、これに対し上告人が上告を申し立てた。
事件番号: 昭和44(行ツ)68 / 裁判年月日: 昭和49年7月19日 / 結論: その他
国税に関する処分に対する異議申立てを棄却した決定に対しては、異議決定固有の瑕疵を理由としてその取消訴訟を提起することができる。
あてはめ
本件における更正登記の申請は、更正前の登記と更正後の登記との比較において、その内容が大幅に変更されるものであった。判決文からは具体的な登記項目は不明であるが、登記の基礎となる事実関係が異なり、両者の間に同一性を認めることができない。同一性が欠如する場合、それは更正登記の範囲を逸脱し、実質的には新たな登記を要する事項であるといえる。したがって、当該申請は不適法であると解される。
結論
更正登記の申請は、更正前後の登記の同一性が失われる場合には許されない。
実務上の射程
更正登記の可否を論じる際のリーディングケースである。答案では、錯誤・遺漏の是正という更正登記の性質から「同一性」という要件を導き、対象不動産や登記名義人、権利の種類が実質的に入れ替わっていないかを検討する際の判断枠組みとして用いる。
事件番号: 昭和59(行ツ)232 / 裁判年月日: 昭和60年2月21日 / 結論: 棄却
一 登記の申請が商業登記法二四条各号所定の却下事由に該当していても、これが受理されて登記が完了したときは、審査請求により右登記の抹消を求めることができるのは、登記につき登記官による職権抹消事由が存することを理由とする場合に限られる。 二 商法一九条の規定に反し登記することができない商号の登記を目的とする登記申請でも、登…