判旨
登記申請当時にいずれの都道府県の区域にも属しない土地について、管轄を有しない登記所がした仮登記は、不動産登記法上の管轄違いの登記として登記官により適法に職権抹消される。また、当該抹消後に当該登記所に管轄権が生じたとしても、遡って抹消処分が違法となることはない。
問題の所在(論点)
いずれの都道府県の区域にも属さない土地についてなされた登記の有効性と、登記後に当該土地の管轄権を取得した場合に既になされた職権抹消処分の効力が左右されるか。
規範
登記の管轄権は申請時および処分時を基準に判断される。不動産登記法(旧法)49条1号に基づき、事件がその登記所の管轄に属さないときは申請を却下すべきであり、誤って受理され登記が完了した後であっても、登記官は管轄違いの無効な登記として職権によりこれを抹消しなければならない。事後的な管轄権の取得は、既になされた抹消処分の適法性に影響を及ぼさない。
重要事実
上告人は、昭和27年1月、いずれの都道府県にも属していなかった土地aについて、青森地方法務局D出張所に仮登記を申請し、登記が完了した。当時、土地aを市町村に編入する処分がなされていたが、法律の定めを欠くため無効であった。その後、登記官は昭和31年7月に管轄違いを理由として当該仮登記を職権抹消した。土地aは、同年9月になって正式にb町へ編入され、D出張所が管轄権を持つに至ったため、上告人は抹消の違法を主張して争った。
あてはめ
本件登記申請時、土地aは地方自治法上の適法な編入がなされておらず、いずれの都道府県にも属していなかった。そのため、土地aを管轄する登記所自体が存在せず、D出張所は管轄権を有していなかった。したがって、法49条1号により却下すべき申請を受理した本件登記は、法149条の2等に基づき職権抹消の対象となる。また、上告人は判決時の管轄権を基準とすべきと主張するが、仮登記時および抹消当時のいずれにおいても管轄権がなかった以上、抹消後に管轄権が生じたとしても、当該抹消処分の適法性が失われる理由にはならない。
結論
本件仮登記の抹消は適法であり、原判決に法律解釈の誤りはない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
登記における管轄の重要性を示す。実務上、行政区画の変更や境界不明地の登記において、申請時点での管轄権の欠如は職権抹消の対象となる絶対的却下事由(不登法25条1号相当)であることを再確認する際に参照すべき判例である。
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