下請運送会社の被用者が、元請運送会社発行の運行表の指示に従い、その指揮監督に服して元請運送会社の有する定期路線の運送業務に従事していたなど判示の事実関係のもとにおいては、右被用者が右業務遂行中に起こした事故につき、元請運送会社は自動車損害賠償保障法三条による運行供用者責任を負う。
下請負人の被用者の起こした事故につき元請負人に自動車損害賠償保障法三条による運行供用者責任が認められた事例
自動車損害賠償保障法3条
判旨
傭車関係において、元請業者が車両の運行を具体的に指揮監督し、運賃収益を分配している場合には、元請業者も自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任を負う。
問題の所在(論点)
元請業者(傭車主)が、下請業者の所有・管理する車両による事故について、自賠法3条の運行供用者として責任を負うか。特に下請負人が独立した事業者である場合の運行支配・運行利益の成否が問題となる。
規範
自動車損害賠償保障法3条にいう「自己のために自動車を運行の用に供するもの」(運行供用者)とは、当該自動車の運行を事実上支配し(運行支配)、その運行により客観的に利益を得ている(運行利益)者を指す。傭車契約に基づく下請負人が車両を運行している場合であっても、元請業者が運行を実質的に支配し、かつ運賃等の利益を得ている事実関係があれば、元請業者の運行供用者責任が認められる。
重要事実
運送業者であるA2(元請)は、A1運輸(下請)から運転手付きで車両を借り上げ、自社の定期路線運送に従事させていた。本件事故は、A2の営業所間を移動する途中で発生した。A2は、運行表によりコースやスケジュールを指示し、荷積・荷降の際には必ず係員を立ち会わせて確認を行わせるなど、もっぱらA2の指揮監督下で業務を遂行させていた。また、運賃の40%をA2、60%をA1運輸が取得する約定であった。
あてはめ
本件では、A2が運行表の発行を通じて具体的な運行経路や時間を指示し、さらに現場での荷役作業を係員が直接監視していたことから、A2に強固な「運行支配」が認められる。また、運賃の40%を自らの収益として取得していた事実は、運行による直接的な「運行利益」を享受していたことを裏付ける。したがって、A1運輸が独立した下請負人であったとしても、本件車両の運行はA2の支配下でA2のために行われたものと評価される。
結論
元請業者A2は、本件車両の運行支配および運行利益を有する運行供用者に該当し、損害賠償責任を負う。
実務上の射程
重層的な運送構造における元請の責任を肯定した重要な判断。答案では、単なる傭車関係のみをもって責任を否定せず、指示書の有無、管理体制(立会)、利益分配率などの具体的要素を摘示し、運行支配と運行利益を肯定する際の見本として活用すべきである。
事件番号: 昭和46(オ)35 / 裁判年月日: 昭和46年12月7日 / 結論: 棄却
埋立用のぼたの運搬の仕事の請負人甲からその一部を下請けした乙の被用者丙が、乙所有の貨物自動車を運転中に事故を起こした場合において、甲は、乙から自動車および丙ら運転手の派遣を受け、甲の被用者とともに甲の指揮監督のもとに、仕事に従事させていたものであり、事故当時は、丙が作業開始前、朝食をとつたうえで作業現場に赴くため、食堂…