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自白の成立が認められないとされた事例
民訴法257条
判旨
親権者が未成年者の法定代理人として行う不動産の売却行為が利益相反行為(民法826条)に当たるかは、行為自体の外形によって決すべきであり、売却の動機や代金の使途によって判断すべきではない。
問題の所在(論点)
親権者が未成年者の不動産を売却する行為について、民法826条の利益相反行為に該当するか否かの判断基準が問題となる。
規範
民法826条が定める「利益相反行為」に該当するか否かは、行為の動機や目的、経済的実質を問わず、専らその行為自体の「外形」によって判断すべきである(外形標準説)。
重要事実
親権者が、未成年者である子を法定代理して、当該子が所有する土地建物を第三者に売却した。これに対し、本件売却行為が子の利益を害し、親権者自身の利益を図るものであるとして、民法826条の利益相反行為に該当し無効ではないかが争われた。
あてはめ
本件において、行為の外形を見れば「不動産の売却」という形式をとっている。売却の動機がどのようなものであったか、あるいは売却によって得られた代金がどのように使われたかといった主観的・実質的な事情は、行為自体の外形を左右するものではない。したがって、外形上、親権者が子の不動産を第三者に売却する行為は、親と子の利益が対立する形式を備えていない。
事件番号: 昭和41(オ)79 / 裁判年月日: 昭和42年4月25日 / 結論: 棄却
親権者が、その経営する事業につき、第三者の援助を仰ぎたいと考えて、子の財産を右第三者に贈与する契約を締結したとしても、右は親権者の単なる内心の意図にすぎず、民法第八二六条の利益相反行為にはあたらない。
結論
本件売却行為は民法826条の利益相反行為には当たらない。したがって、売却に至った動機や使途を理由に同条違反を認めることはできない。
実務上の射程
利益相反行為の判断において、取引の安全と画一的判断を重視し「外形標準説」を確立した。答案では、まずは本基準を示した上で、行為形式(贈与、売買、抵当権設定等)を特定し、形式的に「親の利得・子の損失」または「子相互の利害対立」が生じるかを論じる。動機等の主観的事情は、826条ではなく「親権の濫用」の問題として処理すべき点に注意を要する。
事件番号: 昭和33(オ)968 / 裁判年月日: 昭和35年2月25日 / 結論: 棄却
一 親権者たる父母の一方に民法第八二六条第一項にいう利益相反関係があるときは、利益相反関係のない親権者と同項の特別代理人とが共同して子のための代理行為をなすべきである。 二 甲が乙の親権者として、自己の事業上の債務のため乙所有の不動産を 代物弁済として他に譲渡する行為は、乙が甲の事業により生活上の利 益を受けており、そ…
事件番号: 昭和30(オ)704 / 裁判年月日: 昭和32年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法826条にいう利益相反行為に該当するか否かは、行為の動機や実質的な利害関係ではなく、もっぱら行為の外形から判断すべきである。 第1 事案の概要:親権者である父Dが、未成年の子である上告人の代理人として、第三者Fとの間で本件不動産の売買契約(甲1号証)を締結した。この行為について、上告人側は、実…
事件番号: 昭和47(オ)603 / 裁判年月日: 昭和48年4月24日 / 結論: 棄却
一、親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割の協議をすることは、かりに親権者において数人の子のいずれに対しても衡平を欠く意図がなく、親権者の代理行為の結果数人の子の間に利害の対立が現実化されていなかつたとしても、民法八二六条二項所定の利益相反する行為にあたる。 二、親権者が共同相続人である数人の子を代理してし…
事件番号: 昭和31(オ)262 / 裁判年月日: 昭和32年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】父母が共同して親権を行使すべき場合(民法818条3項)において、一方が売買契約を締結する際に他方が同席して反対せず、測量等の事後行為にも立ち会っていたときは、特段の事情がない限り、共同して親権を行使したものと認められる。 第1 事案の概要:未成年者である上告人Aの不動産売買契約において、Aの母Dは…