民訴法三七条にいう忌避の原因となるべき「裁判官二付裁判ノ公正ヲ妨クヘキ事情アルトキ」とは、裁判官と具体的事件との間に客観的に公正な裁判を期待しえないような人的、物的に特殊な関係がある場合をいい、具体的事件と直接無関係な裁判官としての適格性、行状、思想、単なる法律上の見解等に関する一般的事由は、忌避の原因を構成しないと解しても憲法三二条に反しない。
裁判官忌避の原因と憲法三二条
民訴法57条,憲法52条
判旨
憲法32条は、国民が憲法や法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける権利を保障し、裁判所以外の機関によって裁判されないことを保障するものである。
問題の所在(論点)
裁判を受ける権利(憲法32条)の本質的な保障内容とは何か、および特定の裁判手続きや結果が同条に抵触するか否かの判断基準が問題となった。
規範
憲法32条の趣旨は、全ての国民は憲法又は法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける権利を有し、裁判所以外の機関によって裁判されることはないという点にある。
重要事実
本件は、原決定の憲法32条違反を主張して抗告がなされた事案である。抗告人は、原決定の内容が憲法32条が保障する裁判を受ける権利を侵害するものであると主張した。
事件番号: 昭和47(ク)216 / 裁判年月日: 昭和47年9月7日 / 結論: 棄却
忌避を申し立てられた裁判官が退官したことを理由とし、忌避申立を利益がないとして却下した決定は、申立の実質的理由につき判断を示さなかつたからといつて、憲法三二条に違反するものではない。
あてはめ
最高裁の判例(昭和24年3月23日大法廷判決)の趣旨に照らせば、憲法32条は裁判所以外の機関による裁判を排斥することを主眼とする。原決定はこの趣旨に反するものではなく、抗告人が主張する違憲性は認められない。また、その他の論旨についても、実質的には単なる法令違背の主張にすぎず、憲法問題としては採用できない。
結論
憲法32条違反の主張は理由がなく、本件抗告は棄却されるべきである。
実務上の射程
裁判を受ける権利の「消極的側面(裁判所以外の機関の拒絶)」を強調する初期判例の考え方を示している。答案上は、憲法32条の意義を定義する際の基礎的な論拠として活用できるが、現代的な「積極的側面(実効的な権利救済)」の議論については、より新しい判例と併せて検討する必要がある。
事件番号: 昭和41(ク)122 / 裁判年月日: 昭和41年4月6日 / 結論: 却下
原決定のいかなる点がいかなる理由で憲法に違反するのか具体的に主張のない特別抗告は、不適法である。
事件番号: 昭和48(ク)263 / 裁判年月日: 昭和49年2月8日 / 結論: 棄却
民訴法三九条は憲法三二条、一四条に違反しない。
事件番号: 昭和25(ク)131 / 裁判年月日: 昭和26年10月29日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定における憲法判断の不当を理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2)に限られる。単なる訴訟法規の解釈適用の違法を主張するものは、実質的に憲法違反の主張にあたらず、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所…
事件番号: 昭和25(ク)42 / 裁判年月日: 昭和25年6月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかの判断を不当とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人等が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定における憲法判断の不当性を指摘するものではなかった。…