事件が控訴審たる地方裁判所に係属中、訴の変更により新請求が追加提起された場合において、同裁判所が新訴に対してする判断は実質上初審としてするものではあるが、第二審としてした判断であり、したがつて、これに対し高等裁判所にする不服申立は上告であつて控訴ではない。
控訴審たる地方裁判所が訴の変更により追加提起された新請求につきした判決と不服申立の種類
民訴法360条,民訴法393条1項
判旨
控訴審での訴の変更により提起された新訴に対する判断は、実質的に初審としての性質を有するが、手続上は第二審判決としての性格を持つ。したがって、これに対する不服申立ては上告としてなされるべきであり、その上級審による判決は上告審判決に該当する。
問題の所在(論点)
控訴審における訴の変更により提起された新訴に対する判断の裁判上の性質、およびこれに対する不服申立てが「上告」と「控訴」のいずれの性質を有するか。
規範
控訴審において訴の変更(民事訴訟法143条、297条)により追加提起された新訴に対する判断は、第一審判決に対する不服申立てを契機とする第二審の手続内で行われるものである。したがって、当該判断は形式上および手続上の性質において「第二審としてした判断」に該当し、これに対するさらなる不服申立ては「上告」の形式によるべきである。
重要事実
上告人は、第一審が簡易裁判所である事案の控訴審(松山地方裁判所)において、訴の変更により新訴を提起した。同地裁はこの新訴について判断を示した。これに対し、上告人はさらに上級審(高松高等裁判所)へ不服を申し立てたが、同高裁はこれを上告審として審理し判決を下した。上告人は、当該新訴は地方裁判所を第一審とする訴えに帰するものであるから、高裁の判決は控訴審判決であるべきであり、最高裁判所への申立ては(再上告ではなく)通常の上告として受理されるべきであると主張して争った。
あてはめ
控訴審での新訴に対する判断は、内容的には初めてなされる審理(実質上の初審)ではある。しかし、それは第一審判決に対する控訴という不服申立てを契機として開始された控訴審手続の一部として行われる応答である。したがって、この判決は制度上「第二審としての判断」としての地位を占める。本件において、控訴審(地方裁判所)が新訴に対してした判決は第二審判決であるから、これに対する高等裁判所の判決は上告審としての判決にほかならない。ゆえに、さらなる不服申立ては特別上告等の制限を受けることとなる。
結論
控訴審における訴の変更に係る新訴への判断は第二審判決であり、これに対する不服申立てを受けた上級審の判決は上告審判決にあたる。
実務上の射程
控訴審で訴の変更がなされた場合、三審制との兼ね合いで審級の利益が問題となるが、判例は手続の形式的連続性を重視する。実務上、簡易裁判所を第一審とする事件の控訴審(地裁)で訴の変更をした場合、高裁での判断は上告審となり、最高裁への申立ては民事訴訟法327条の規定等により厳しく制限される点に注意が必要である。
事件番号: 昭和24(オ)214 / 裁判年月日: 昭和26年3月23日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和25(オ)312 / 裁判年月日: 昭和26年2月23日 / 結論: 棄却
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