民法一六二条にいう公然の占有とは、占有者が、占有の存在を知るにつき利害関係を有する者に対して、占有の事実をことさら隠蔽しないことをいうものと解すべきである。
民法一六二条にいう公然の占有の意義
民法162条
判旨
民法162条にいう「公然」の占有とは、占有の存在を知るにつき利害関係を有する者に対して、占有者が占有の事実をことさら隠蔽しないことをいう。
問題の所在(論点)
民法162条にいう「公然」の占有の意義。特に、利害関係人に対して占有の事実を隠蔽していないことが必要か。
規範
民法162条の取得時効の要件である「公然」とした占有とは、当該占有の存在を知るについて利害関係を有する者に対し、占有者がその占有の事実を意図的に隠し立て(隠蔽)しない状態を指す。
重要事実
Dは昭和22年10月2日頃、国から本件土地の売渡を受け、その後10年間にわたりD及び被上告人Bが本件土地を所有の意思をもって占有し続けた。その過程で、登記簿上の操作のために書類が作製されたが、これが占有を秘匿するための行為に該当するかが争点となった。
あてはめ
事件番号: 昭和37(オ)970 / 裁判年月日: 昭和38年2月21日 / 結論: 棄却
山林の所有権取得時効の基礎要件たる占有は、時効援用者の単独占有でなければならない。
本件において、DおよびBは10年間にわたり本件土地を占有しているが、その間になされた登記簿操作のための書類作製は、占有の事実を隠匿する目的で行われたものとは認められない。したがって、利害関係人に対して占有の事実をことさら隠蔽したとはいえず、「公然」の要件を充足すると評価される。
結論
DおよびBの占有は「公然」といえるため、取得時効の成立を認めた原審の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
時効取得の要件検討において「公然」が争点となる場合、単に外部から認識可能であることだけでなく、利害関係人に対する隠蔽の有無という主観的・動態的な要素から論じるべき指針となる。
事件番号: 昭和38(オ)495 / 裁判年月日: 昭和39年9月4日 / 結論: 棄却
甲と乙とが同一地域を重複して管理している場合には、甲の占有は平穏な占有とはいえない。
事件番号: 昭和34(オ)425 / 裁判年月日: 昭和36年8月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】所有権の取得時効の要件である「所有の意思」の有無は、占有取得の原因となった権原の性質により客観的に決定される。他人の留守番として土地を使用する権原は、その性質上、所有の意思を認め得ない他主占有にあたる。 第1 事案の概要:占有者Dは、被上告人から本件土地の「留守番」として使用することを許され、これ…