将来の事実の発生を条件として強制執行の不許を求める第三者異議の訴は、これを許容すべき特別な事情の存する場合を除き、許されない。
将来の事実の発生を条件とする第三者異議の訴の許否
民訴法549条
判旨
将来の事実の発生を条件とする「将来の形成の訴え」は、原則として許されず、これを許容すべき特別な事情が存する場合に限り、例外的に許容される。
問題の所在(論点)
形成の訴えにおいて、将来の事実の発生を停止条件とする「将来の形成の訴え」(本件では条件付第三者異議の訴え)が認められるか。
規範
第三者異議の訴えのように新たな法律関係の形成を求める「形成の訴え」は、現在の事実関係に基づき即時に確定されうる場合にのみ許されるのが原則である。したがって、将来の事実の発生を条件とする「将来の形成の訴え」は、かかる請求を許容すべき「特別な事情」が存する場合を除き、許されない。
重要事実
控訴人(原審)は、本件建物につき自己のための所有権移転の本登記手続を経由したときは本件強制執行を許さない旨の判決を求める「条件付第三者異議の訴え」を予備的に提起した。原審は、この「特別な事情」の有無を審理することなく、条件付での異議を認容したため、上告人がこれを不服として上告した。
あてはめ
本件訴えは、将来の本登記完了を条件として執行力排除という形成力を発生させるものである。形成判決は法律関係を確定的に変更する性質を有するため、不確定な将来の事実に依存させることは法的安定性を欠く。したがって、原則として許容されず、例外的に「特別の事情」が認められるか否かを個別具体的に判断すべきである。原審は、この特別の事情の存否を審理しておらず、審理不尽・理由不備の違法がある。
結論
将来の形成の訴えは、原則として許されない。原判決は特別の事情の有無を審理していないため破棄し、差し戻すべきである。
実務上の射程
訴えの利益(適法性)に関する判例である。給付の訴えにおける「将来の給付の訴え」(民訴法135条)との対比で、形成の訴えにおいては原則否定されることを示す際に活用する。「特別な事情」の具体的内容は判決文からは不明だが、実務上は極めて限定的に解される。
事件番号: 昭和44(オ)755 / 裁判年月日: 昭和48年2月15日 / 結論: 棄却
一、建物に対する債務者の占有を解いて執行官の保管に付し、現状不変更を条件として債権者に使用を許す旨の仮処分の執行に対し、右建物の所有者は、これを仮処分債務者に賃貸占有させている場合でも、第三者異議の訴を提起することができる。 二、第一審において全部勝訴の判決を得た原告も、控訴審において、附帯控訴の方式により請求を拡張し…