普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を一〇年と定めた場合には、右存続期間の約定は借地法一一条により、その定めがなかつたものとみなされ、右賃貸借の存続期間は、同法二条一項本文により契約の時から三〇年と解すべきである。 (反対意見がある。)
普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を一〇年と定めた場合における賃貸借の存続期間
借地法2条,借地法11条
判旨
普通建物所有を目的とする土地の賃貸借において、借地法2条1項所定の最短期間(30年)を下回る存続期間を定めた場合、その約定は同法11条により無効となり、期間の定めのない借地権として同法2条1項により存続期間は30年となる。
問題の所在(論点)
旧借地法下において、同法2条1項本文が定める最短存続期間(30年)を下回る期間を合意した場合の効力、およびその場合の具体的な存続期間が問題となる(旧借地法2条1項、11条)。
規範
普通建物所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地法2条1項所定の存続期間(30年)よりも短い期間(例えば10年)を定めた場合、当該期間の約定は、借地人にとって不利なものとして同法11条によりその定めがなかったものとみなされる。その結果、当該賃貸借は「期間の定めがない」状態となり、同法2条1項本文の規定が適用されることにより、その存続期間は契約の時から30年となる。
重要事実
被上告人(借地人)は、昭和19年2月1日、普通建物所有の目的で本件土地を賃借した。その際、賃貸借期間を10年とする合意がなされた。上告人ら(賃貸人側)は、期間の約定がある以上、本件賃貸借は期間満了により既に終了している(昭和39年2月1日時点)と主張して、借地権の存在を否定した。一方、被上告人は、期間の定めのない賃貸借であると主張して賃借権の確認を求めた。
あてはめ
本件における10年の期間の定めは、借地法2条1項の最短期間(30年)よりも短く、借地人に不利な特約である。そのため、同法11条により無効(定めがなかったものとみなす)とされる。特約が無効となった結果、本件契約は「期間の定めがない」契約に該当するため、同法2条1項本文に基づき、存続期間は「30年」となる。昭和19年2月1日から起算すると、訴訟提起時点において30年が経過していないことは明らかである。
結論
本件賃貸借の存続期間は昭和19年2月1日から30年と解されるため、上告人らによる期間満了の抗弁は理由がなく、被上告人の賃借権は現に存続している。上告棄却。
実務上の射程
旧借地法が適用される事案において、法定の最短期間(堅固建物60年、普通建物30年)を下回る期間合意の効力を論じる際のスタンダードな規範である。借地借家法(現行法)下においても、最短期間の定めはないものの、借地権者に不利な特約の無効(9条)や期間の定めがない場合の期間(3条)の構成において、同様の論理構成が妥当する。
事件番号: 昭和44(オ)332 / 裁判年月日: 昭和44年7月24日 / 結論: 棄却
従前の土地の一部に賃借権を有する者は、右賃借権について権利指定の届出をした場合であつても、区画整理事業の施行者から仮換地上の使用収益部分の指定を受けないかぎり、仮換地を現実に使用収益する権限を有しない。