農地の賃貸借が農地法第一九条により更新されたときは、以後期間の定めのない賃貸借として存続するものと解すべきである。
農地賃貸借の法定更新と賃貸期間。
農地法19条,民法619条,民法617条
判旨
期間の定めのある農地の賃貸借が農地法19条(現行18条)の規定に基づき更新された場合、その賃貸借は期間の定めのないものとして存続する。
問題の所在(論点)
農地法19条(現行18条)に基づき農地の賃貸借が法定更新された場合、更新後の契約における「期間」の定めはどう扱われるべきか。期間の定めのある契約がそのまま維持されるのか、期間の定めのない契約に移行するのかが問題となる。
規範
期間の定めのある農地の賃貸借において、農地法の規定により法定更新がなされた場合には、更新後の賃貸借は期間の定めのないものとして存続する。これは借家法上の法定更新と同様の法理が妥当するものと解される。
重要事実
期間の定めのある農地の賃貸借において、農地法19条(現行18条)の規定によって賃貸借が更新された事案である。更新後の賃貸借が期間の定めのあるものとして存続するのか、あるいは期間の定めのないものとして存続するのかが争点となり、併せて知事による解約の許可の有無も争われた。
事件番号: 昭和44(オ)342 / 裁判年月日: 昭和45年3月24日 / 結論: 棄却
普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を一〇年と定めた場合には、右存続期間の約定は借地法一一条により、その定めがなかつたものとみなされ、右賃貸借の存続期間は、同法二条一項本文により契約の時から三〇年と解すべきである。 (反対意見がある。)
あてはめ
農地法19条(現行18条)による更新は、当事者の合意によらず法律の規定によって強制的に更新される法定更新である。判例は、借家法2条(旧法)に関する先例を引用し、農地法に基づく更新が行われた場合も同様に、更新後の賃貸借は期間の定めのないものとして存続すると判断した。本件においても、適法に更新がなされた以上、爾後は期間の定めのない賃貸借に移行したと解するのが相当である。また、知事による解約の許可については、原審が証拠に基づき認定した事実関係から肯定されるべきである。
結論
農地法により更新された農地賃貸借は、期間の定めのない賃貸借として存続する。本件上告は棄却される。
実務上の射程
農地法18条による法定更新後の契約期間の性質を確定した判例である。答案上では、法定更新後の解約申し入れや更新拒絶の可否を検討する際の前提として、期間の定めの有無を確定するために本判旨を引用する。民法604条等の期間制限との関係でも留意が必要である。
事件番号: 昭和32(オ)50 / 裁判年月日: 昭和33年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法が適用されない「一時使用のための借地権」に該当するか否かは、賃貸借の目的、期間、設備、その他の諸客観的状況を総合的に考慮して判断される。本件では、原審の認定に基づき、本件宅地の賃貸借が一時使用のためのものであると認められた。 第1 事案の概要:上告人は本件宅地を賃借していたが、被上告人が…
事件番号: 昭和44(オ)893 / 裁判年月日: 昭和44年12月18日 / 結論: 棄却
民法三九五条により抵当権者に対抗しうる農地の短期賃貸借の期間が抵当権の実行による差押の効力の生じた後に満了した場合には、賃借人は、農地法一九条による法定更新をもつて抵当権者に対抗できない。