判旨
借地借家法が適用されない「一時使用のための借地権」に該当するか否かは、賃貸借の目的、期間、設備、その他の諸客観的状況を総合的に考慮して判断される。本件では、原審の認定に基づき、本件宅地の賃貸借が一時使用のためのものであると認められた。
問題の所在(論点)
本件宅地の賃貸借が、借地法の適用を受ける通常の賃貸借か、それとも適用を受けない「一時使用のための賃貸借」に該当するかが争点となった。
規範
借地借家法(旧借地法)の規定によらず、一時使用のための賃貸借(現行借地借家法25条参照)と認められるためには、賃貸借の目的、期間、地上建物の種類・構造、賃料の額、その他諸般の事情から、短期間に限って利用させる趣旨であることが客観的に明らかであることを要する。
重要事実
上告人は本件宅地を賃借していたが、被上告人が当該宅地を買い受ける前に当該賃貸借関係は消滅していた。原審において、本件賃貸借は「一時使用のため」のものであると事実認定されていた。
あてはめ
最高裁は、原審が認定した諸般の事情に基づき、本件賃貸借が一時使用のためのものであると判断した点に違法はないとした。賃貸借関係が被上告人の買受け前に既に消滅していたという原審の事実認定を維持し、法的保護の対象となる借地権の存在を否定した。
結論
本件賃貸借は一時使用のための賃貸借であり、借地法による存続期間等の保護は受けない。したがって、賃貸借の消滅を前提とする原判決は正当である。
実務上の射程
一時使用の借地権該当性は事実認定の問題であるが、答案上は借地借家法25条の適用の有無を検討する際の判断枠組みとして、目的・期間・建物の堅固性・賃料等の客観的事情から、短期間に限り利用させる合意が認められるかを論じる必要がある。
事件番号: 昭和33(オ)882 / 裁判年月日: 昭和36年12月19日 / 結論: 棄却
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【結論(判旨の要点)】不動産の譲受人が、当該不動産に対する賃借権の存在を知って買い受けた場合であっても、当該賃借権が対抗要件を欠いている以上、新所有者が土地の明渡しを求めることは原則として権利の濫用にあたらない。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地について賃借権を有していた。被上告人は、上告人が本件土地を占有し賃借権…