借地期間の満了から二年余り前に賃貸人から賃借人に対し賃借権の無断譲渡若しくは無断転貸を理由とする契約解除の意思表示があつたからといつて、借地法第六条所定の異議の申述があつたものと解することはできない。
借地期間満了前における契約解除の意思表示と借地法第六条所定の異議
判旨
借地借家法上の法定更新を阻む「遅滞なき異議」については、賃貸借期間満了より相当以前(約2年前)になされた契約解除の通知をもって直ちにこれに当たると解することはできない。
問題の所在(論点)
賃貸借期間満了の約2年前になされた賃貸借契約解除の通知が、法定更新を妨げるための「異議の申述」として認められるか。
規範
賃貸借契約の期間満了に伴う法定更新を阻止するための賃貸人による異議の申述は、期間満了の前後の近接した時期になされることを要し、期間満了に先立つこと相当以前になされた解除通知をもって直ちに異議の申述があったと解することはできない。
重要事実
上告人の先代Dは、大正9年12月25日頃を始期として本件土地を賃貸した。借地法の適用により期間は20年とされ、昭和15年12月25日に期間満了を迎える状況にあった。Dは、期間満了に先立つ約2年前の昭和13年3月12日、上告人の無断譲渡・転貸を理由として賃貸借契約の解除を通知し、使用継続に対し異議があることを明らかにしていた。原審は、この解除通知をもって法定更新を阻む異議の申述があったと認定した。
あてはめ
本件において、賃貸人Dが発した契約解除の通知は、賃貸借期間の満了に先立つこと2年余りも前のものである。このような早期になされた解除の意思表示は、あくまで当時の解除事由に基づくものであり、期間満了時における更新拒絶の意思表示である「遅滞なき異議」としての性質を備えているとは評価できない。したがって、これをもって直ちに法定更新を阻む異議の申述があったと解するのは相当ではない。
事件番号: 昭和44(オ)342 / 裁判年月日: 昭和45年3月24日 / 結論: 棄却
普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を一〇年と定めた場合には、右存続期間の約定は借地法一一条により、その定めがなかつたものとみなされ、右賃貸借の存続期間は、同法二条一項本文により契約の時から三〇年と解すべきである。 (反対意見がある。)
結論
期間満了に先立つこと2年余り前になされた解除通知は、法定更新を阻む異議の申述とは認められない。ただし、本件では上告人が主張する賃貸借契約自体の存否が認められないため、結論として請求は棄却される。
実務上の射程
借地借家法(旧借地法)における法定更新の場面で、過去の解除通知が「異議」として流用できるかの限界を示したものである。更新拒絶には「期間満了」という事実に即した意思表示が必要であり、あまりに早期の通知は射程外となる点に注意が必要である。答案上は、異議の申述の「時期」の妥当性を検討する際の規範として活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)404 / 裁判年月日: 昭和35年11月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】賃借権の存続期間が口頭弁論終結時までに経過した場合、特段の主張がない限り、賃借権の存続は過去の法律関係となり確認の利益を欠くほか、賃借権に基づく引渡請求も失当となる。 第1 事案の概要:被上告人は、罹災都市借地借家臨時処理法11条に基づき、本件宅地について昭和31年9月14日までの賃借権を有すると…
事件番号: 昭和32(オ)1008 / 裁判年月日: 昭和34年6月18日 / 結論: 棄却
無権代理人甲が乙の所有地を丙に賃貸した後、乙からその土地の譲渡を受けて所有権を取得したときは、丙との賃貸借は、甲についてその効力を生ずるものと解すべきである。