株主相互金融を営む会社から融資を希望しない株主に対して支払われる「株主優待金」は、たとえ会社に利益がなく、かつ、株主総会の決議を経ていない違法があるとしても、法人税法上その性質は配当以外のものではありえず、その支出を会社の所得計算上損金に算入することは許されない。 (参照) 一審 東京地裁昭和四〇年一二月一五日判決(行裁例集一六巻一二号一九一六頁)
株主相互金融における「株主優待金」と損金算入の許否
旧法人税法(昭和22年法律第28号)9条1項
判旨
株主相互金融方式において株主たる地位に基づいて支払われる金員は、実質が預金利息的性格を有していても、法人税法上の配当に該当し、損金に算入することはできない。
問題の所在(論点)
株主相互金融の枠組みで支払われる「株主優待金」が、法人税法上の損金(費用)に該当するか、あるいは利益処分である「配当」に該当するか。
規範
法人が株主に対し、株主たる地位に基づいてなす金銭的給付は、たとえ当該法人に利益がなく、かつ株主総会の決議を経ていない違法なものであっても、法人税法上の性質は「配当」に該当する。したがって、法人の所得計算においてこれを損金に算入することは許されない。
重要事実
金融業を営む被上告会社は、新株を発行して資金を調達し、株式買受人が代金を完済した場合には融資を受ける権利を付与する「株主相互金融」を行っていた。株主が融資を希望せず株式を持ち続ける場合には、「株主優待金」等の名目で年1割前後の金員が支払われていた。原審は、この実質は消費貸借の利息と同様であるとして損金算入を認めたため、国側が上告した。
事件番号: 昭和36(オ)944 / 裁判年月日: 昭和43年11月13日 / 結論: 棄却
いわゆる株主相互金融を営む会社において、融資を希望しない株主に対し「株主優待金」の支払をしても、法人税法上は、その支出を会社の損金に算入することは許されない。
あてはめ
本件における株式買受代金の払込みは、有効な新株発行に伴う自己資本の増加であり、買受人は株主の地位を取得している。本件優待金の支払は、この株主たる地位にある者に対し、その地位に基づいてなされる金銭的給付である。経済的・実質的にみれば預金利息のような性質を有するといえるとしても、法律的には株式買受代金が同時に消費貸借の元本となることはあり得ず、有効に成立した株主としての法的地位を無視することはできない。
結論
本件株主優待金は、その性質が配当以外のものではあり得ず、被上告会社の所得計算上、損金に算入することはできない。
実務上の射程
法人税法上の配当の概念について、私法上の形式(株主に対する地位に基づく給付か否か)を重視する立場を明確にした。剰余金処分によらない事実上の配当(いわゆる「擬制配当」や「不当な利益供与」等)が損金算入を否定される際の解釈指針として機能する。
事件番号: 昭和40(行ツ)85 / 裁判年月日: 昭和43年8月27日 / 結論: 棄却
札幌市中小企業設備合理化促進条例により、市長から機械等の使用許可を受けた者と市との間に成立するのは割賦払約款附売買であり、その者の納付する普通使用料は、売買代金の一部を構成するものとして、使用中の機械等の当該事業年度における減価償却の限度においてのみ損金に計上することが許される。
事件番号: 昭和35(オ)54 / 裁判年月日: 昭和35年10月7日 / 結論: 棄却
一 いわゆる蛸配当、株主平等の原則に反する配当等のように、商法上不適法な配当であつても、所得税法上の利益配当のうちに含まれる。 二 いわゆる株主相互金融会社(原判決参照)における株主優待金は所得税法上の利益配当にあたらない。
事件番号: 昭和41(行ツ)44 / 裁判年月日: 昭和45年10月23日 / 結論: 破棄差戻
借地権の設定に際して土地所有者が支払を受ける権利金は、その設定契約において長期の存続期間を定め、かつ、借地権の譲渡性を承認する等所有者が当該土地の使用収益権を半永久的に手離す結果となる場合に、その対価として更地価格のきわめて高い割合にあたる金額の支払を受けるというような、明らかに所有権の権能の一部を譲渡した対価としての…