一 いわゆる蛸配当、株主平等の原則に反する配当等のように、商法上不適法な配当であつても、所得税法上の利益配当のうちに含まれる。 二 いわゆる株主相互金融会社(原判決参照)における株主優待金は所得税法上の利益配当にあたらない。
一 商法上不適法な配当と所得税法にいう利益配当。 二 いわゆる株主相互金融会社(原判決参照)における株主優待金と所得税法にいう利益配当。
所得税法9条1項2号,所得税法37条,商法290条,商法293条
判旨
所得税法上の「利益の配当」とは、商法と同様に、損益計算上の利益を株金額の出資に対し株主に支払うものをいい、損益計算上の利益の有無にかかわらず支払われる株主優待金はこれに該当しない。
問題の所在(論点)
所得税法(旧法)9条2号にいう「利益の配当」の意義、および損益計算上の利益の有無を問わず支払われる株主優待金がこれに該当するか。
規範
所得税法上の「利益の配当」の概念は、商法が前提とする取引社会における利益配当の観念(損益計算上の利益を株金額の出資に対し株主に支払う金額)と同一であると解すべきである。したがって、商法の規定に反する不適法な配当(蛸配当等)であっても、実質的に上記性質を有する限り、所得税法上の「利益の配当」に含まれる。一方で、損益計算上の利益の有無にかかわらず支払われ、出資に対する利益金としての性格が明確でないものは、これに該当しない。
重要事実
被上告人(会社)は、株主に対して「株主優待金」を支払っていた。課税当局(上告人)は、当該優待金が所得税法上の「利益の配当」にあたるとして、源泉徴収義務の不履行を理由に課税処分を行ったが、原審によれば、本件優待金は損益計算上の利益の有無にかかわらず支払われる性質のものであった。
事件番号: 昭和36(オ)1254 / 裁判年月日: 昭和37年10月2日 / 結論: 棄却
匿名組合契約の形式をとり、多くの人から資金を集めた場合にも、出資者が事業に参加する意思等も全くない場合は、右契約を、「匿名組合契約及びこれに準ずる契約」にあたらない。
あてはめ
本件の株主優待金は、損益計算上の利益が発生しているか否かにかかわらず支払われるものであった。これは、取引社会において「出資に対する利益の分配」として理解される配当の観念とは性質を異にする。不適法な配当であっても所得税法上の配当に含まれ得るという理屈はあるものの、本件のように利益の有無を問わず支払われるものは、出資に対する利益金として支払われるものと断定し難く、利益配当と同一の性質を持つとは認められない。
結論
本件株主優待金は所得税法上の「利益の配当」に当たらない。したがって、被上告人は源泉徴収義務を負わず、課税処分は認められない。
実務上の射程
配当概念の商法(現行会社法)との連続性を認めた点に意義がある。不適法な配当(違法配当)であっても税務上は「配当所得」として扱われる可能性を肯定しつつ、配当所得として分類するためには、少なくとも損益計算上の利益を源泉とする実質的な利益分配の性質を備えている必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和35(オ)4 / 裁判年月日: 昭和36年10月27日 / 結論: 棄却
出資者が隠れた事業者として事業に参加しその利益の分配を受ける意思を有せず、金銭を会社に利用させその対価として利息を享受する意思を持つていたに過ぎず、このことが、原判決認定の事情のもとに客観的にも認められる場合は、事業者と出資者との契約は、所得税法第一条第二項第三号にいう「匿名組合契約およびこれに準ずる契約」にあたらない…
事件番号: 昭和29(オ)64 / 裁判年月日: 昭和31年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】課税処分における所得額の算定について、仕入商品に対する利益率を推計により認定すること、および雑損金の有無を原審の判断に委ねることは、法令の解釈に関する重要な主張を含まない適法なものとされる。 第1 事案の概要:上告人は、税務当局による所得算定の基礎となった利益率の推計方法および雑損金の不算入につい…
事件番号: 平成17(行ヒ)96 / 裁判年月日: 平成18年11月16日 / 結論: その他
納税者が平成11年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したところ,同権利行使益が給与所得に当たるとして増額更正がされた場合において,(1)外国法人である親会社から日本法人である子会社の従業員等に付与されたストックオプションに係…
事件番号: 平成18(行ヒ)295 / 裁判年月日: 平成19年7月6日 / 結論: その他
納税者が平成12年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したところ,同権利行使益が給与所得に当たるとして増額更正がされた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,納税者が同権利行使益を一時所得として申告し,同権利…