法廷等の秩序維持に関する法律第三条第二項による行為者の拘束および同法第二条による制裁が、憲法第三四条、第三一条に違反するものでないことは当裁判所の判例(昭和二八年(秩ち)第一号同三三年一〇月一五日大法廷決定、刑集一二巻一四号三二九一頁参照)の趣旨とするところである。
法廷等の秩序維持に関する法律第三条第二項による行為者の拘束および同法第二条による制裁の合憲性
法廷等の秩序維持に関する法律2条,法廷等の秩序維持に関する法律3条2項,憲法34条,憲法31条
判旨
法廷等の秩序維持に関する法律に基づく行為者の拘束および制裁は、司法の自己保全的な権能に基づく特殊な手続きであり、憲法31条および34条に違反しない。
問題の所在(論点)
法秩序維持法3条2項による行為者の拘束および同法2条による制裁が、刑事手続上の保障を定めた憲法31条、34条に違反するか。
規範
法廷等の秩序維持に関する法律(以下「法秩序維持法」)に基づく拘束および制裁は、適正な裁判を維持し司法の尊厳を確保するために裁判所に内在する、自己保全的な権限に基づく特殊な処置である。かかる手続は通常の刑事手続とは性質を異にするため、裁判官が法廷の秩序を乱す現行犯的行為に対して行う場合には、憲法31条、33条、34条が要求する刑事手続上の諸手続(理由告知や弁護人依頼権の付与等)の適用は、その性質上排除される。
重要事実
抗告人は、法秩序維持法に基づき、裁判所から行為の拘束および制裁の決定を受けた。これに対し抗告人は、当該拘束および制裁が、憲法34条所定の理由告知や弁護人依頼権の告知を欠いており、憲法31条および34条に違反して無効であると主張して、特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和44(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和44年5月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律(本法)は、制裁を科すための要件を具体的に定めており、憲法31条、82条1項、21条1項、32条、37条3項等に違反しない。法廷の秩序維持を目的とした制裁規定の構成要件は明確であり、適正手続等の憲法上の諸原則に抵触するものではない。 第1 事案の概要:申立人らは、法廷等…
あてはめ
法秩序維持法に基づく制裁は、刑事罰でも行政罰でもない特殊な性質を有しており、司法権の適正な行使を確保するための自己保全的な措置である。本件における拘束および制裁は、法廷の秩序を乱す現行犯的行為に対して裁判所または裁判官が直接行うものである。したがって、司法の尊厳維持という目的の特殊性および現行犯的状況に鑑みれば、通常の刑事裁判に関する憲法上の諸手続を厳格に適用しなくとも、法秩序維持法に基づく手続自体が直ちに憲法の保障に反するものとはいえない。
結論
法秩序維持法に基づく拘束および制裁は、憲法31条、34条に違反しない。
実務上の射程
司法の権能に基づく「法廷警察権」の行使という特殊な領域において、刑事手続上の憲法的保障が一定程度制限されることを認めた射程を有する。答案上は、通常の刑事手続によらない身体拘束や制裁が、司法の自己保全的権能という文脈で肯定される際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和60(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和60年11月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律に基づく制裁手続は、通常の刑事裁判の手続とは異なる簡易なものであるが、憲法31条等の刑事手続上の保障が及ばないわけではなく、その趣旨に反しない限度で適憲とされる。本法による監置決定は、裁判官の面前等で行われた秩序を乱す言動に対し、法廷の尊厳と審判の適正を確保するために行…
事件番号: 昭和28(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和33年10月15日 / 結論: 棄却
一 法廷等の秩序維持に関する法律による制裁は従来の刑事的行政的処罰のいずれの範疇にも属しないところの、本法によつて設定された特殊の処罰である。そして本法は、裁判所または裁判官の面前その他直接に知ることができる場所における言動つまり現行犯的行為に対し裁判所または裁判官自体によつて適用されるものである。従つてこの場合は令状…
事件番号: 昭和46(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和46年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律2条に基づく監置の制裁は、憲法31条、34条、37条、82条に違反しない。裁判所の法廷秩序維持権限に基づく制裁は、通常の刑事手続とは異なる性質を有するものの、合憲である。 第1 事案の概要:法廷において秩序を乱す行為等があったとして、法廷等の秩序維持に関する法律2条に基…
事件番号: 昭和35(秩ち)3 / 裁判年月日: 昭和35年9月21日 / 結論: 棄却
法廷等の秩序維持に関する法律第二条にもとづき当該被告事件の弁護人を非公開の法廷で監置処分にしても、憲法第三一条、第三四条、第三七条第三項および第八二条に違反するものではない。