一、理事の選挙を指名推選の方法によつて行なうことにつき、当初は反対意見があつても、結局その意見が維持されず、出席者中に異議がなく可決されたときは、中小企業等協同組合法第三五条第九項の「出席者中に異議がないとき」にあたる。 二、当初被指名人一人について反対意見があつても、その後撤回され、結局出席者全員の同意があつたときは、同条第一〇項の「全員の同意があつた」ということができる。
一、中小企業等協同組合法第三五条第九項の「出席者中に異議がないとき」にあたるとされた事例 二、同条第一〇項の「全員の同意があつた」とされた事例
中小企業等協同組合法35条
判旨
理事の選挙を指名推選の方法で行う際、当初は反対意見があっても最終的に出席者全員が同意した場合には、中小企業等協同組合法に違反しない。
問題の所在(論点)
中小企業等協同組合法35条(理事の選任)に基づき、本来は無記名投票等の選挙によるべき理事の選任を「指名推選」の方法で行うことが、どのような場合に適法となるか。
規範
理事の選挙において指名推選の方法を用いることは、出席者全員の同意(異議がないこと)がある場合には、実質的に選挙の自由を害するものとはいえず、中小企業等協同組合法35条(現行法を含む)の趣旨に反しない。
重要事実
中小企業等協同組合の総会において、理事の選挙を指名推選の方法で行うことにつき、当初は一部から反対意見が出された。しかし、議論の過程でその意見は維持されず、最終的には出席者中に異議なく可決された。また、具体的な被指名人25名を当選人と定めるか否かについても、当初1名について反対意見があったが、これも撤回され、最終的に出席者全員の同意が得られた。
事件番号: 昭和52(オ)833 / 裁判年月日: 昭和53年4月14日 / 結論: 棄却
有限会社の社員総会において、その社員である特定の者を取締役に選任すべき決議をする場合に、その特定の者は、右決議につき特別の利害関係を有する者にあたらない。
あてはめ
本件では、当初こそ指名推選の方法や候補者の一部に反対があったものの、最終的には反対意見が撤回または維持されなかった。出席者全員の同意がある状態に至っており、手続きの民主的妥当性が確保されているといえる。したがって、法定の選出方法に反する実質的な違法はないと解される。
結論
本件指名推選は中小企業等協同組合法に違反せず、当該理事選任は有効である。
実務上の射程
社団的法人の役員選任手続きにおいて、定款や法律が原則として選挙を予定している場合であっても、全員の合意があれば指名推選が許容されることを示している。答案上は、手続きの瑕疵の有無を検討する際、全員合意による「瑕疵の治癒」または「手続きの代替」を正当化する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和60(オ)781 / 裁判年月日: 平成元年7月13日 / 結論: 破棄差戻
共同漁業権放棄の対価として漁業協同組合が取得する補償金の配分は、当該漁業協同組合の総会の特別決議によつて行うべきである。
事件番号: 昭和38(オ)940 / 裁判年月日: 昭和41年1月28日 / 結論: 破棄自判
一 中小企業等協同組合が、中小企業等協同組合法第四一条所定の改選手続によることなく、総会または総代会の決議をもつて理事を解任することは、許されない。 二 中小企業等協同組合の理事の罷免については、民法第六五一条は準用されない。
事件番号: 昭和44(オ)719 / 裁判年月日: 昭和47年11月9日 / 結論: 棄却
学校法人の理事会または評議員会の決議が無効であることの確認を求める訴は、現に存する法律上の紛争の直接かつ抜本的な解決のため適切かつ必要と認められる場合には、許容されるものと解すべきである。
事件番号: 昭和40(オ)823 / 裁判年月日: 昭和44年5月2日 / 結論: 棄却
労働組合の推薦する特定候補以外の立候補者を支持する組合員の政治活動(選挙運動)を一般的・包括的に制限禁止し、これに違反する行動を行なつた組合員は統制違反として処分されるべき旨を決議した組合大会決議は、労働組合の統制権の限界を超えるものとして無効である。(福岡高裁昭和三九年(ネ)第三二八号同四〇年四月二二日判決、高民集一…