建物保護に関する法律一条二項(昭和四一年法律第九三号による削除前のもの)は、建物の朽廃以外の滅失の場合にも適用がある。
建物保護ニ関スル法律一条二項(昭和四一年法律第九三号による削除前のもの)は建物の朽廃以外の滅失の場合にも適用があるか
建物保護ニ関スル法律1条2項(昭和41年法律93号による削除前のもの)
判旨
建物保護法1条2項(現行の借地借家法10条2項参照)の規定により、借地上の建物が滅失した場合には、建物登記による賃借権の対抗力は失われる。本件では、建物滅失後に所定の掲示等による対抗力維持の措置がとられなかったため、第三者に対する対抗力が認められなかった。
問題の所在(論点)
借地上の建物が滅失した場合において、建物登記による賃借権の対抗力が維持されるか、また、建物保護法1条2項の適用により対抗力が失われるかどうかが問題となった。
規範
建物保護法1条1項に基づき建物登記によって備えられた借地権の対抗力は、同条2項の規定により、当該建物が滅失した場合には消滅する。この場合、借地権者は改めて同項所定の事項を土地の上の見やすい場所に掲示する等の要件を満たさない限り、第三者に対して賃借権を対抗することができない。
重要事実
上告人(賃借人)は、本件土地上に建物を所有し、その登記を具備することで土地賃借権の対抗力を備えていた。しかし、その後、当該建物が滅失した。一方で、被上告人B(土地の譲受人等)が本件土地に関する権利を取得した際、上告人の建物は既に存在せず、また建物保護法1条2項に基づく対抗力を維持するための適切な措置(掲示等)も継続されていなかった。
事件番号: 昭和41(オ)263 / 裁判年月日: 昭和41年11月22日 / 結論: 棄却
借地上の建物につき登記がなされる以前に右敷地の所有権移転があつたため、建物所有者が右敷地取得者に借地権を対抗できない場合にあつては、当該建物を譲り受けた者は、右敷地取得者に対し建物買取請求権を有しない。
あてはめ
原審の確定した事実によれば、上告人が所有していた建物は滅失しており、建物保護法1条2項の規定が適用される状況にあった。上告人は、建物滅失後に同項が定める対抗力維持のための要件を充足していなかった。また、被上告人Bには賃借権の存在を認識すべき過失も認められない。したがって、建物登記による対抗力は失われており、上告人は被上告人に対して賃借権を主張できないと解される。
結論
上告人の本件土地に対する賃借権は、建物保護法1条2項により対抗力を失っている。したがって、上告人の請求は認められず、上告を棄却する。
実務上の射程
借地借家法10条2項の解釈に直結する。建物登記による対抗力は建物滅失によって当然に消滅し、掲示等の代替措置を講じない限り、善意・無過失の第三者に対抗できないという原則を確認する事案として活用できる。
事件番号: 昭和47(オ)628 / 裁判年月日: 昭和48年3月13日 / 結論: 棄却
建物所有を目的とする土地の賃借人が賃借土地上に建物を所有しその登記を経由しても、その後土地の賃貸人の債権者が右土地の仮差押をしその登記を了したのち賃借人が建物を滅失させ滅失登記をしたときは、のちになつて賃借人があらたな建物を建築し保存登記をしても、賃借人は賃借権をもつて仮差押債権者に対抗することができない。
事件番号: 昭和39(オ)943 / 裁判年月日: 昭和40年3月5日 / 結論: 棄却
賃借地上の賃借人所有の家屋が第三者に無断譲渡された後に右家屋が他に賃貸された場合において、家屋買取請求権が行使されたときは、土地所有者は、右家屋の所有権を取得すると共に、家屋賃借人に対する賃貸人の地位をも継承する。
事件番号: 昭和39(オ)842 / 裁判年月日: 昭和40年4月2日 / 結論: 棄却
土地の賃借人は、その土地の上に登記した建物を有しないかぎり、右賃借権の存在を知つて土地所有権を取得した第三者に対しても土地賃借権を主張することができない。
事件番号: 昭和31(オ)465 / 裁判年月日: 昭和32年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地上の建物について登記が存在しない場合には、「建物保護ニ関スル法律」1条による対抗力は認められない。また、建物の収去を求める請求が権利の乱用とされるか否かは、事案の具体的経緯に照らして慎重に判断されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は土地を賃借しその上に建物を所有していたが、当該建物につい…