賃貸人が借家法七条により額を定めて賃料値上の請求をしたときは、その範囲内において客観的に値上を相当とする額につき将来に向つて値上の効力を生ずるが、たといその後において値上の事由が発生しても、新たに値上の請求をしない限り、さきにした請求の範囲内においてさらに値上の効力を生ずるものではなく、このことは、値上賃料支払請求訴訟を提起し、これを維持継続していても変りがない。
借家法七条による賃料値上請求に基づき値上賃料支払請求訴訟を提起維持中値上を相当とする事由の生じた場合と賃料の値上
借家法7条
判旨
抵当権者は、抵当不動産の賃料債権を差し押さえることにより物上代位権を行使できるが、抵当不動産の第三取得者が取得する賃料債権についても、その行使は妨げられない。
問題の所在(論点)
抵当不動産の所有権が第三者に移転した場合において、抵当権者は、当該第三取得者が賃借人に対して有する賃料債権に対し、物上代位権を行使することができるか。
規範
抵当権者は、抵当権の目的物から生ずる賃料債権についても、民法304条に基づき、払渡し又は引渡し前に差し押さえることで物上代位権を行使することができる。この行使は、抵当不動産の所有権が第三者に移転し、当該第三取得者が賃貸人として賃料債権を取得する場合であっても、抵当権の対抗力が及ぶ以上、否定されない。
重要事実
抵当権の設定された不動産について、設定者から第三者に所有権が移転(譲渡)された。第三取得者は当該不動産を賃貸し、賃借人に対して賃料債権を取得した。抵当権者がこの賃料債権に対して物上代位を認められるかが争われた。なお、具体的な事案の細部は添付された判決文からは不明である。
あてはめ
抵当権は、抵当不動産の価値を把握する権利であり、その効力は登記によって第三者に対抗できる。不動産が譲渡され所有者が変更されたとしても、抵当権の付着した状態での承継である以上、その交換価値の具現化である賃料債権に対しても物上代位の効力は及ぶ。したがって、第三取得者が取得する賃料債権も、抵当権の客体たる不動産の価値の変形物といえる。
結論
抵当権者は、抵当不動産の第三取得者が取得する賃料債権に対しても、物上代位権を行使することができる。
実務上の射程
抵当権の対抗力が及ぶ範囲において、物上代位の対象は設定者本人の債権に限定されないことを示す。答案では、所有者交代後の賃料差し押さえの可否が問われた際、本判例を根拠に肯定的な論証を行う際に用いる。
事件番号: 昭和46(オ)734 / 裁判年月日: 昭和46年12月3日 / 結論: 棄却
賃貸家屋が他に譲渡されいまだ対抗要件を具備していない場合においても、賃借人が後にこの事実を認めて、新家主に対し、遡つて賃料を皮払つたときは、右賃料の弁済は、その弁済時以前の分も含めて、すべて有効と解すべきである。