従来母屋に接続した簡単なバラック建附属建物にすぎなかつた部分を倍以上に拡げて店舗に改造し、母屋との間に板壁による間じきりをし、母屋とは全く独立して使用できるようにしたなど原判示の事情(原判決理由参照)がある場合においては、柱および板壁を共通にし、建物が屋根続きで外見上は一体の建物の観を呈していても、右改造部分につき区分所有権が成立する。
建物の一部分の改築により区分所有権が成立したとされた事例
建物の区分所有等に関する法律1条
判旨
建物の一部であった増築部分が別の建物に合体し、構造上・利用上の独立性を備えるに至った場合、当該部分は元の建物から分離し、新たな独立した建物の一部として所有権の目的となる。
問題の所在(論点)
増築され当初は既存建物の「一部」であった部分が、その後の改築や利用状況の変化によって、元の建物から分離し、別の独立した建物の一部として所有権の客体となり得るか。
規範
ある建物部分が独立した所有権の目的となるか、あるいは既存の建物の一部となるかは、その構造および利用状況から客観的に判断される。具体的には、隔壁による遮断の有無、独自の出入口の有無、店舗等としての独立した利用実態等を総合考慮し、既存の建物から分離して独立の建物(または他の建物の一部)として機能しているかを基準とする。外見上屋根が共通している等の事実は、直ちに独立性を否定するものではない。
重要事実
訴外Dは建物(ハ)を建築後、空地に下屋(ヘトチリヌカヘ部分、以下「本件部分」)を増築した。その後Dは(ハ)に接着して建物(イ)(ロ)を建築し、本件部分を(イ)に合体させた上、板壁で間仕切りを施した。昭和25年4月にEがこれらを買受けた際、本件部分を含む各建物では被上告人らが個別に衣料品店、印判屋、魚屋等を経営していた。Dは(イ)を本屋、(ロ)を附属建物として新築申告及び所有権保存登記を経由したが、本件部分等は(ハ)と一部の柱や板壁を共通にし、屋根も連続した外見を呈していた。
事件番号: 昭和35(オ)856 / 裁判年月日: 昭和39年1月30日 / 結論: 破棄差戻
建物を目的とする代物弁済予約の効力が、右予約後右建物に加えられた築造部分に及ぶかどうかを判断するにつき、建物の物理的構造のみに依拠し、取引または利用の対象として観察した建物の状況を勘案しなかつたのは、審理不尽理由不備の違法がある。
あてはめ
本件部分は当初(ハ)の下屋であったが、その後の工事により(イ)に合体され、板壁によって明確な間仕切りがなされている。また、利用状況においても、被上告人らがそれぞれ独立した店舗を経営しており、経済的な独立性が認められる。構造上、柱や板壁を共有し、屋根が連続して一体の外見を呈しているという事実はあるものの、前述の構造・利用上の独立性を覆すものではない。したがって、売買当時において、本件部分はすでに(ハ)から分離し、(イ)の一部として独立した所有権の目的となり得る状態にあったといえる。
結論
本件部分は建物(ハ)から分離し、建物(イ)の一部に属するものと認められる。したがって、建物(ハ)の所有権の効力は本件部分に及ばない。
実務上の射程
建物の合体・附属・独立性の判断基準を示す。特に、増築による「附合」後の分離可能性や、一棟の建物としての外観よりも実質的な構造・利用実態を重視する判断枠組みは、建物の一部の所有権帰属が争われる事案での規範として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)977 / 裁判年月日: 昭和38年5月31日 / 結論: その他
主たる建物の登記部分のみが無効である場合は、その部分のみの抹消を許すべきであつて、附属建物を含めた全部の登記の抹消を許すべきではない。
事件番号: 昭和26(オ)578 / 裁判年月日: 昭和29年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】独立の建物といえるためには、外見や利用状況のみならず、その本質的構造において他の建物と区分され、構造上の独立性を有していることが必要である。 第1 事案の概要:本件の建物は、木造二階建の居宅であるが、隣接するD旅館の建物と外見上接続しており、玄関が設置されていない。外部との出入りは専らD旅館を経由…
事件番号: 昭和35(オ)276 / 裁判年月日: 昭和37年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者の主張する契約関係と裁判所が認定した契約関係との間に社会観念上の同一性が認められる場合、裁判所が当該認定に基づき判決しても処分権主義に反しない。また、主たる賃貸借契約が終了した場合、これに付随し運命を共にする趣旨の従たる転貸借契約も当然に終了する。 第1 事案の概要:賃貸人(被上告人)は、建…