事実の認定の資料に供された証言をした証人に対し偽証の告訴手続がとられたというだけでは、適法な再審事由、したがつて適法な上告理由とはならない。
証人に対する偽証の告訴手続と再審事由または上告理由
民訴法394条,民訴法420条1項7号,民訴法420条2項
判旨
判決の基礎となった証拠について偽証の告訴がなされたという事実だけでは、民事訴訟法上の適法な再審事由(現行338条1項7号等)には該当せず、上告理由にもならない。
問題の所在(論点)
証拠資料となった証言について偽証の告訴がなされたことが、直ちに民事訴訟法上の適法な再審事由、ひいては適法な上告理由となるか。
規範
判決の基礎となる証拠について偽証等の犯罪行為があったことを再審事由とするためには、原則として、その犯罪について有罪の判決が確定したこと、または証拠欠如以外の理由により確定判決を得られないことを要する(現行民訴法338条1項7号、同条2項参照)。単に告訴の手続がとられたという事実だけでは、これに該当しない。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)において事実認定の資料とされた証言をした証人に対し、偽証罪での告訴手続をとった。上告人は、この告訴事実を理由に、原判決には再審事由がある旨を主張し、適法な上告理由になると訴えて上告を提起した。
あてはめ
上告人は、証人に対する偽証告訴を根拠に原判決を非難するが、告訴はあくまで一方的な犯罪の嫌疑の申立てにすぎない。民事訴訟の安定性を害する再審事由を認めるには、客観的に犯罪が証明される(有罪判決の確定等)必要があるところ、本件では告訴手続がとられたという事実に留まっている。したがって、客観的な再審事由の存在を基礎付ける事実があるとはいえず、結局のところ、原審の専権事項である証拠の取捨選択を不当に非難するものに帰する。
結論
偽証の告訴手続がとられただけでは適法な再審事由・上告理由にはならないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
民訴法338条1項7号(証人の虚偽の陳述)を理由とする再審請求には、同条2項の「罰すべき行為について、有罪の判決……が確定したとき」等の厳格な要件が必要であることを確認する。実務上、単なる告訴状の提出や捜査の開始のみをもって再審や上告の理由とすることはできない。
事件番号: 昭和28(オ)633 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が更正決定によるべき事項や事実認定の非難にすぎず、法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の不服を申し立てて上告したが、その主張内容は更正決定によって解決されるべき事項、または原審の事実認定を非難するものであった。 第2 問題の所在…
事件番号: 昭和31(オ)967 / 裁判年月日: 昭和32年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を争うにすぎない場合、原判決に影響を及ぼす明らかな法令の違背があるとは認められないため、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人らが原審による事実認定の不当を主張して上告を提起したが、その主張は原審の適法な事実認定を争うにとどまるものであった。 第2 問題の所在(…
事件番号: 昭和49(オ)163 / 裁判年月日: 昭和52年3月24日 / 結論: 棄却
後訴における被告の主張及び反訴請求が先に被告が提起した、右反訴と訴訟物を異にする前訴の実質上のむし返しであり、かつ、原判示の事情があるときは、後訴における被告の主張及び反訴請求は、信義則に反し許されない。
事件番号: 昭和33(オ)345 / 裁判年月日: 昭和34年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原審で主張していなかった新たな事実上の主張を基礎として原判決の違法をいうことは、民事訴訟の手続上許されない。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、被上告人(賃貸人)からなされた月額5,000円の延滞賃料の催告に基づく契約解除を争っていた。上告人は、上告審において、当該催告より以前…