法定地上権の地代確定訴訟の係属中、右法定地上権が譲渡され、その後右訴訟の判決が確定した場合においては、その譲受人は、右判決によつて譲渡人と地主との間で確定された右譲受当時の地代を、譲受の時に遡つて支払うべき義務を負うものと解すべきである。
法定地上権の地代確定訴訟の判決が確定した場合右訴訟の係属中に右法定地上権を譲り受けていた者の支払うべき地代額
民法388条,民訴法201条1項
判旨
法定地上権の譲受人が、譲渡前に確定していた地代額を遡って承継することに合意した場合、その地代額の拘束力が及ぶ。地代確定判決の既判力が当然に及ぶわけではなく、当事者間の合意による承継を認めたものである。
問題の所在(論点)
法定地上権の譲渡前に前主と土地所有者の間で確定した地代額について、譲受人がこれを遡って承継したと認められる場合に、その拘束力を認めることができるか。
規範
前主と土地所有者との間で地代確定判決が成立している場合、当該権利の譲受人が当然にその既判力(民事訴訟法115条1項3号)に拘束されるわけではない。しかし、譲渡前の地代について、前主との間で確定した地代額を、譲受人が特に遡って承継したと認められる特段の事情(合意等)がある場合には、譲受人はその額に従う義務を負う。
重要事実
訴外Dは本件土地に法定地上権を有していたが、被上告人(土地所有者)との間で地代確定判決が確定した。その後、上告人はDから法定地上権を譲り受けた。被上告人は上告人に対し、Dとの判決で確定した地代額の支払いを求めた。原審は、上告人が右譲渡の特に遡って右確定地代額を承継した旨を認定し、請求を認容したため、上告人が既判力の解釈誤り等を理由に上告した。
事件番号: 昭和42(オ)268 / 裁判年月日: 昭和43年10月29日 / 結論: 棄却
甲から不動産所有権の譲渡を受けた乙が、所有権取得登記未経由のまま、右不動産を丙に譲渡したのち、かさねてこれを丁に譲渡した場合において、丙は、自己の所有権取得登記を経由しないかぎり、その所有権取得を丁に対抗することができない。
あてはめ
本件では、原審が「上告人が譲渡前の地代について、被上告人とDとの間で確定した地代額を特に遡って承継した」という事実を認定している。これは地代確定判決の既判力が民訴法の規定により当然に及ぶとしたものではなく、上告人の意思表示や合意に基づく承継を認定したものである。かかる事実関係がある以上、上告人は確定済みの地代額に従う義務を負うと解される。また、供託の事実を主張しなかった上告人に対し、裁判所が釈明権を行使して立証を促す義務はない。
結論
法定地上権の譲受人が前主の確定地代額を遡って承継したと認められる場合、その地代額に従うべきであり、原判決の判断は正当である。
実務上の射程
既判力の主観的範囲(民訴法115条1項3号)の議論とは別に、当事者間の合意等によって前主の債務内容を「承継」したと認定できる場合の処理を示す。実務上、既判力が及ばない場合でも、承継の事実を認定することで実質的に前判決の効力を波及させる構成として機能する。
事件番号: 昭和37(オ)1165 / 裁判年月日: 昭和39年1月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸借契約の合意解除が認められない状況下で、転借人が賃貸人の承諾を得て賃借人(転貸人)に賃料を支払った場合、その支払は民法613条の趣旨に照らし、賃貸人に対する関係でも有効な支払として免責の効果が生じる。 第1 事案の概要:賃貸人(上告人)と賃借人(訴外D)との間の賃貸借契約が存続している状況にお…
事件番号: 昭和43(オ)1214 / 裁判年月日: 昭和44年4月18日 / 結論: 棄却
一、土地の抵当権設定後その実行前に地上建物が移転された場合でも、その移転が同一土地内であつて抵当権設定当時に存在した建物の利用に必要であつたものと認められる範囲にとどまつている場合には、土地の競売により右範囲において法定地上権が成立することを妨げない。 二、土地の競売により発生した法定地上権を地上建物とともに譲り受け、…
事件番号: 昭和42(オ)1279 / 裁判年月日: 昭和46年3月25日 / 結論: 破棄差戻
貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば、右不動産を債務者に返還するが、弁済をしないときは右不動産を債務の弁済に代えて確定的に債権者の所有に帰せしめるとの合意のもとに所有権移転登記が経由されている場合において、債務者が弁済期に債務の弁済をしないときは、債権者は、目…
事件番号: 昭和34(オ)1162 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
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