民訴法第一七〇条第一項に従つて送達を受けるべき場所および送達受取人の届出をしなかつた抗告人に対し、抗告棄却決定を書留郵便に付して送達したことに、何らの違法はなく、また、送達事務取扱上の過失もない(同法第一七三条の適用上、右発送の日に送達の効果が生じ五日の特別抗告期間が進行するから、現実に郵便が到達した日は右抗告期間満了の前日であつた事案)。
書留郵便に付して送達したことに違法がないとされた事例
民訴法170条,民訴法173条
判旨
当事者が送達場所等の届出義務(民訴法104条1項)を怠った場合、書留郵便に付して発送した時に送達の効力が生じ、不変期間の起算点となる。
問題の所在(論点)
送達場所等の届出を怠った当事者に対し、裁判所が書留郵便による発送送達を行った場合、いつ送達の効力が発生し、不変期間(抗告期間)の起算点となるか。
規範
当事者が裁判所の所在地における送達場所等の届出を怠った場合、裁判所書記官は、書留郵便等による発送送達を行うことができる(民訴法107条1項・2項、旧法170条2項参照)。この場合、書類を発送した時に送達があったものとみなされ(同法107条3項)、その時から不変期間が進行する。
重要事実
抗告人は、抗告審(東京高等裁判所)において、裁判所の所在地で送達を受けるべき場所および送達受取人を定めて届け出る手続(旧民訴法170条1項)を怠った。そのため、裁判所書記官は、旧民訴法170条2項に基づき、抗告棄却決定を抗告人宛に書留郵便に付して発送した。発送日は昭和40年7月19日であり、これに対し特別抗告申立書が提出されたのは同年7月25日であった。
事件番号: 昭和47(ク)334 / 裁判年月日: 昭和47年11月29日 / 結論: 却下
書留郵便に付して送達した決定に対する特別抗告の受理手続において、原裁判所が、抗告申立が、右郵便の発送から五日を経過していることを理由にこれを却下したのは正当であつて、右却下が憲法三二条に違反するとの上告理由はその前提を欠く。
あてはめ
抗告人は送達場所等の届出義務を履行していなかったため、裁判所書記官が書留郵便に付して発送したことに違法や過失はない。発送送達においては、旧民訴法173条(現行法107条3項)の適用により、発送の日である昭和40年7月19日に送達の効果が生じる。不変期間である5日の抗告期間は同日から起算されるため、同年7月25日の申立ては期間経過後であると評価される。
結論
書留郵便による発送送達の効力は発送時に発生し、本件特別抗告は5日の抗告期間を経過した不適法なものとして却下される。
実務上の射程
当事者が送達場所の届出義務を怠った場合に認められる「発送送達」の法的効果(発送時到達擬制)を確認した事例。実務上、期間の遵守が厳格に求められる不変期間の計算において、送達の形態(交付送達か発送送達か)を区別する際の根拠となる。
事件番号: 昭和44(し)75 / 裁判年月日: 昭和44年11月17日 / 結論: 棄却
刑訴法二六二条の付審判請求は、同条に定める七日の期間内に、請求書が検察官に到達したときに効力を生ずる。
事件番号: 昭和46(し)94 / 裁判年月日: 昭和46年11月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不服申立に対する却下決定に対し特別抗告を申し立てる場合、その理由は当該却下決定自体の憲法違反等でなければならず、前審の判断内容を争う事由は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、管轄移送申立を却下する決定に対し即時抗告をしたが、これも棄却された。当該棄却決定は申立人に送達され、これに対して直接…
事件番号: 昭和33(ク)371 / 裁判年月日: 昭和34年7月8日 / 結論: 棄却
民訴規則第五〇条の定める上告理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決しても憲法第一四条に違反しない。
事件番号: 昭和43(し)38 / 裁判年月日: 昭和43年9月17日 / 結論: その他
本件のような事情(決定文参照)のもとにおいては、控訴趣意書不提出による控訴棄却決定に対する異議申立を受けた原裁判所としては、当該郵便送達報告書の記載内容に疑いの余地があるから、申立人に控訴趣意書差出最終日通知書が送達されたかどうかを判断するには、なお、関係者の取調等事実の取調を必要とすると認められるのに、原裁判所が、事…