民訴規則第五〇条の定める上告理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決しても憲法第一四条に違反しない。
上告理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決することと憲法第一四条。
憲法14条,民訴法398条1項,民訴規則50条
判旨
上告理由書提出期間の計算について到達主義を採用することは、裁判所との距離による地理的条件という個人的事情の差異を生じさせるに過ぎず、憲法14条1項の法の下の平等に反しない。
問題の所在(論点)
民事訴訟規則が定める上告理由書提出期間(上告受理通知書の送達から50日)の計算について、到達主義を採用する実務慣行が、裁判所との距離による有利・不利を生じさせ、憲法14条1項の法の下の平等に違反しないか。
規範
法の下における平等を保障した憲法14条1項との関係において、訴訟手続上の期間制限が合憲であるためには、その定めがすべての当事者に対して一律に適用され、人為的な差別を設けるものでないことを要する。地理的遠近等の条件によって生じる事実上の利益不利益は、当事者が置かれる個別の地理的条件からくる単なる個人的事情に過ぎず、法的な差別には当たらない。
重要事実
抗告人は、上告理由書の提出期間について、発信主義ではなく到達主義による運用がなされている点に不服を申し立てた。具体的には、裁判所から遠方に居住する当事者は、近隣に居住する当事者に比して郵送等に時間を要するため、実質的な準備期間が短くなり、憲法14条が保障する法の下の平等に違反すると主張して、本件上告を却下した原決定の取り消しを求めた。
事件番号: 昭和32(ク)115 / 裁判年月日: 昭和33年7月10日 / 結論: 棄却
上告理由書の提出期間に関する民訴規則第五〇条は、憲法に違反しない。
あてはめ
民訴規則が定める上告理由書提出期間は、すべての当事者に対し「上告受理通知書の送達を受けた日から50日」と一律に定められている。したがって、人によって利益・不利益の差別を設けているものではない。抗告人が主張する裁判所への遠近の差異は、当該当事者が置かれる地理的条件という単なる個人的事情に由来するものであり、制度自体が不当な差別を設けているとはいえない。よって、到達主義による期間計算は合理的であり、憲法に違反するものではない。
結論
上告理由書提出期間の計算を到達主義によるものとすることは、憲法14条1項に違反しない。
実務上の射程
訴訟法上の期間制限や計算方法(到達主義)が、地理的条件によって当事者間に事実上の不平等をもたらすとしても、制度が一律に適用されている限り憲法違反とはならないことを示した。行政法や民事訴訟法における不変期間の憲法適合性を論じる際の基礎となる判断枠組みである。
事件番号: 昭和58(ク)94 / 裁判年月日: 昭和58年12月15日 / 結論: 棄却
一 民訴規則六一条の規定は憲法三二条に違反しない。 二 民訴規則六一条の定める抗告理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決しても憲法三二条に違反しない。
事件番号: 昭和24新(つ)5 / 裁判年月日: 昭和24年9月7日 / 結論: 棄却
公判期日において刑訴法第一四六條により証言を拒んだ証人並びに供述をした証人の檢察官に対する各供述録取書及び被告人の司法警察職員に対する供述録取書を、檢察官が証拠として提出したのに対して、弁護人から証人の右供述録取書は同法第三二一條第一項第二号に定める要件を備えていないものであり、被告人の右供述録取書は同法第三二二條によ…
事件番号: 昭和37(ク)403 / 裁判年月日: 昭和38年12月20日 / 結論: 棄却
抗告代理人が原裁判所から遠隔の地に在つた等の所論事情があつても、五日の特別抗告期間内に抗告を申し立てることが抗告人に不能を強いるものとはいえないから、特別抗告期間を五日という非常に短い期間に限つた民訴法第四一九条ノ二第二項の規定が憲法第三二条に違反するとの上告理由は、前提を欠き採用できない。
事件番号: 昭和44(し)75 / 裁判年月日: 昭和44年11月17日 / 結論: 棄却
刑訴法二六二条の付審判請求は、同条に定める七日の期間内に、請求書が検察官に到達したときに効力を生ずる。