上告理由書の提出期間に関する民訴規則第五〇条は、憲法に違反しない。
民訴規則第五〇条の合憲性。
民訴規則50条,民訴法398条1項,憲法77条
判旨
最高裁判所規則で上告理由書の提出期間を定めることは、憲法77条1項の規則制定権の範囲内であり、当該期間経過後の追完を許す規定がない以上、期間徒過による上告却下は適法である。
問題の所在(論点)
1. 最高裁判所規則により上告理由書の提出期間を定めることは、憲法77条1項の規則制定権の範囲に含まれるか。 2. 提出期間徒過後の追完を認める規定がない場合において、期間徒過を理由とする上告却下決定は憲法に違反するか。
規範
憲法77条1項が定める最高裁判所の規則制定権には、訴訟に関する手続事項が含まれる。上告理由書の提出期間は訴訟手続に関する事項であり、これを規則で定めることは同条及び法律の委任に基づく適法な権限行使である。また、手続の安定性の観点から、法律や規則に明文の規定がない限り、期間徒過後の追完は認められない。
重要事実
抗告人は、民事訴訟法及び民事訴訟規則が定める上告理由書の提出期間を経過した後に理由書を提出した。原審裁判所は、期間徒過を理由に民事訴訟法に基づき上告を却下する決定を下した。これに対し抗告人は、規則で提出期間を定めることは憲法違反であること、及び期間経過後の追完が認められるべきであることを主張して特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和33(ク)371 / 裁判年月日: 昭和34年7月8日 / 結論: 棄却
民訴規則第五〇条の定める上告理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決しても憲法第一四条に違反しない。
あてはめ
上告理由書の提出期間は、訴訟の進行を規律する「訴訟に関する手続」そのものである。憲法77条1項は最高裁判所にこれら手続の制定権を認めており、規則(旧民訴規則50条)による期間設定は合憲な権限行使といえる。また、当該期間を経過した場合の追完については、民事訴訟法上も規則上も何ら規定が存在しない。規定の欠如は、期間徒過に対して厳格な法的効果が生じることを意味する。したがって、法(旧民訴法399条)に則り上告を却下した原審の判断に憲法違反の瑕疵は認められない。
結論
上告理由書の提出期間を規則で定めることは憲法77条1項に適合し、期間徒過後に追完を認める規定がない以上、上告却下は正当である。本件抗告を棄却する。
実務上の射程
最高裁規則と法律の関係、および規則制定権の限界(手続的事項の範囲)を論じる際の基礎となる判例である。答案上は、法定期間と規則で定める期間の効力の同一性を支える論拠として使用できる。また、明文なき追完の許容性を否定する文脈でも参照可能である。
事件番号: 昭和36(ク)176 / 裁判年月日: 昭和41年3月14日 / 結論: 棄却
民訴規則第五〇条の規定は憲法第三二条に違反しない。
事件番号: 昭和33(ク)44 / 裁判年月日: 昭和33年3月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては憲法違反の主張が実質的に単なる法令違反にすぎない場合は、特別抗告として不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原審が抗告期間の徒過を理由として抗告を却下し、申立ての理由の有無について判断しなかったこ…
事件番号: 昭和33(ク)164 / 裁判年月日: 昭和33年7月10日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、旧民事訴訟法419条の2(現行336条)に規定する特別抗告の要件を満たさないものは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し、憲法違反を主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由…
事件番号: 昭和43(ク)451 / 裁判年月日: 昭和44年2月13日 / 結論: 棄却
(消極)