内縁を不当に破棄された者は相手方に対し不法行為を理由として損害賠償を求めることもできる。
内縁不当破棄と不法行為の成否
民法709条
判旨
内縁関係は法律上保護されるべき利益であり、正当な理由なくこれを共同して破棄した者は、故意または過失により他方の権利を侵害したものとして、不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
問題の所在(論点)
法律上の婚姻を届け出ていない内縁関係の不当破棄が、民法709条の「法律上保護されるべき利益」の侵害として不法行為を構成するか。また、第三者がこれに関与した場合の責任はどうなるか。
規範
内縁関係は法律上保護されるべき利益を有する。したがって、正当な理由なく内縁関係を不当に破棄する行為は、不法行為(民法709条、719条)を構成し、当該行為に関与した者は損害賠償責任を負う。
重要事実
被上告人と上告人Aは内縁関係にあったが、上告人らは共同して、正当な理由がないにもかかわらず、当該内縁関係を破棄させた。被上告人は、上告人らに対し、内縁関係を不当に破棄されたことによる損害の賠償を求めて提訴した。
あてはめ
事件番号: 昭和38(オ)334 / 裁判年月日: 昭和38年12月20日 / 結論: 棄却
当事者がいずれも高等学校卒業直後であり、男性においてなお大学に進学して学業を継続しなければならないときに肉体関係を結ぶに至つた場合でも、将来夫婦となることを約して肉体関係を結んだものであり、その後も男性において休暇で帰省するごとに肉体関係を継続し、双方の両親も男性の大学卒業後は婚姻させてもよいとの考えで当事者間の右の関…
上告人Aおよび他の上告人らは、被上告人との間に存在した「法律上保護されるべき利益」のある内縁関係を、正当な理由なく共同して破棄した。これは、故意または過失によって被上告人の法律上の利益を侵害したものと認められる。したがって、上告人らは共同して不法行為責任を負うべきである。
結論
内縁関係の不当破棄は不法行為となり、上告人らは被上告人に対し、連帯して損害を賠償する責任がある。
実務上の射程
内縁関係を「準婚」として保護する従来の判例理論を再確認したものである。答案上は、内縁関係の法的性質を「婚姻に準ずる関係」として論証し、その解消(破棄)が709条の違法性を有するかを判断する際の規範として活用する。第三者が介入して解消させた場合にも719条の共同不法行為が成立し得ることを示す際にも有用である。
事件番号: 昭和35(オ)241 / 裁判年月日: 昭和38年3月26日 / 結論: 棄却
一 原判示の事実関係のもとでは、不法行為が成立するとはみられない。 二 慰藉料額の認定は、原審の裁量に属する事実認定の問題であり、その額が著しく不相当であつて経験則もしくは条理に反するような事情でもないかぎり、その不当をもつて上告理由とはなしえない。
事件番号: 昭和33(オ)754 / 裁判年月日: 昭和34年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】婚姻予約の当事者一方による不当な破棄について、当該当事者の言動のみならず、その親等の第三者がこれに加担して婚姻予約破棄の事実を惹起させた場合には、当該第三者も連帯して損害賠償責任を負う。 第1 事案の概要:上告人Aは被上告人と婚姻の予約をしていたが、後にこれを破棄した。この破棄に際し、上告人Aの言…
事件番号: 昭和33(オ)286 / 裁判年月日: 昭和33年10月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】婚姻予約不履行に基づく慰謝料の額は、事実審の口頭弁論終結時までに生じた一切の事情を考慮して、裁判所の自由な裁量により量定することができる。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間には婚姻の予約(婚約)が成立していたが、その後、予約の不履行が生じた。第一審および原審(控訴審)は、当事者間に存する「…