一 原判示の事実関係のもとでは、不法行為が成立するとはみられない。 二 慰藉料額の認定は、原審の裁量に属する事実認定の問題であり、その額が著しく不相当であつて経験則もしくは条理に反するような事情でもないかぎり、その不当をもつて上告理由とはなしえない。
一 婚姻もしくは内縁関係を破綻させた第三者(舅および姑)の不法行為の成否 二 慰藉料額の認定の不当を上告理由となしうるか
民法709条,民法710条,民訴法394条
判旨
婚姻関係(または婚姻予約)を不当に破棄させた第三者は、婚姻当事者に対し不法行為責任を負い得るが、当該言動が新生活における「しつけ」の範囲に留まり、破棄を意図したものといえない場合は、違法性が認められない。
問題の所在(論点)
婚姻当事者以外の第三者(姑)の言動が、婚姻関係(または婚姻予約)を破壊するものとして不法行為(民法709条)上の違法性を有するか。
規範
婚姻関係にある者に対して当事者以外の第三者が違法な侵害行為をなし、その結果として婚姻関係が破棄されるに至ったときは、婚姻当事者は当該侵害者に対して不法行為責任(民法709条)を追及し得る。ただし、その侵害行為が違法と評価されるためには、単なる不適切な言動では足りず、婚姻関係の破棄を意図したものであるか、または客観的に見て必然的に破棄をもたらす程度の違法性を有することを要する。
重要事実
上告人とその配偶者の婚姻予約関係(または婚姻関係)に対し、姑である被上告人Bが厳格な礼儀作法等の指導(いわゆる嫁いびりと主張された言動)を行った。上告人は、Bの虐待・非難によって婚姻関係が破壊されたとして、Bに対し不法行為に基づく損害賠償を請求した。原審は、Bの言動は「しつけ」の範囲内であり、上告人側の適応努力の欠如も一因であるとして、違法な権利侵害を否定した。
事件番号: 昭和33(オ)754 / 裁判年月日: 昭和34年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】婚姻予約の当事者一方による不当な破棄について、当該当事者の言動のみならず、その親等の第三者がこれに加担して婚姻予約破棄の事実を惹起させた場合には、当該第三者も連帯して損害賠償責任を負う。 第1 事案の概要:上告人Aは被上告人と婚姻の予約をしていたが、後にこれを破棄した。この破棄に際し、上告人Aの言…
あてはめ
被上告人Bの言動は、上告人に対する非難虐待に当たると認めるに足りる証拠がなく、むしろ新たな環境に入る上告人に対する「しつけ」としての性格を有するものであった。また、当該言動は婚姻予約関係の破棄を意図したものではなく、客観的にも必然的に破棄をもたらす性質のものとはいえない。上告人が精神的打撃を受けたとしても、それは新生活に伴う苦痛を克服する心掛けの欠如による側面もあり、Bの行為を直ちに婚姻破棄に結びつく違法行為と見ることはできない。
結論
第三者の言動が、婚姻関係の破棄を意図せず、社会通念上「しつけ」等の範囲を逸脱して破棄を必然化させるものでない限り、不法行為上の違法性は認められない。したがって、本件における姑の言動は違法とはいえず、損害賠償請求は認められない。
実務上の射程
婚姻関係の第三者侵害における違法性判断の基準を示した。実務上は、単なる不和の原因となった事実だけでは足りず、破棄の意図や必然性という強い違法性が要求される。また、慰謝料額の算定は原審の裁量に属し、著しく不相当でない限り上告理由にならないという実務上の通説的運用を再確認する際にも引用される。
事件番号: 昭和38(オ)334 / 裁判年月日: 昭和38年12月20日 / 結論: 棄却
当事者がいずれも高等学校卒業直後であり、男性においてなお大学に進学して学業を継続しなければならないときに肉体関係を結ぶに至つた場合でも、将来夫婦となることを約して肉体関係を結んだものであり、その後も男性において休暇で帰省するごとに肉体関係を継続し、双方の両親も男性の大学卒業後は婚姻させてもよいとの考えで当事者間の右の関…
事件番号: 昭和41(オ)819 / 裁判年月日: 昭和41年12月8日 / 結論: 棄却
内縁を不当に破棄された者は相手方に対し不法行為を理由として損害賠償を求めることもできる。
事件番号: 昭和33(オ)286 / 裁判年月日: 昭和33年10月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】婚姻予約不履行に基づく慰謝料の額は、事実審の口頭弁論終結時までに生じた一切の事情を考慮して、裁判所の自由な裁量により量定することができる。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間には婚姻の予約(婚約)が成立していたが、その後、予約の不履行が生じた。第一審および原審(控訴審)は、当事者間に存する「…