積極。
婚姻予約不履行を理由とする慰籍料請求事件は、家事審判法第一七条にいわゆる家庭に関する事件にあたるか。
判旨
婚姻予約は将来適法な婚姻をなすべき契約であり、一方が正当な理由なく拒絶した場合には不履行による損害賠償責任を負うが、婚姻自体を強制することは許されない。賠償責任を認めることは婚姻の自由を侵すものではなく、法律婚主義にも反しない。
問題の所在(論点)
婚姻予約不履行に基づく損害賠償請求の可否、および当該責任を認めることが婚姻の自由や法律婚主義(民法739条)に抵触しないか。
規範
婚姻予約は将来適法な婚姻をなすべきことを目的とする有効な契約である。一方の当事者が正当な理由なく婚姻を拒絶した場合、相手方に対し不履行による損害賠償(精神的損害を含む)の責に任ずる。ただし、婚姻は任意に履行されるべき性質のものであり、強制履行は許されず、当事者は婚姻をなすか否かを決定する自由を依然として保有する。
重要事実
上告人と被上告人は、仮祝言および結婚式を経て同棲生活を開始したが、その後、婚姻予約が履行されない状態に至った。被上告人は婚姻予約不履行を理由として、慰謝料等の損害賠償を求めて提訴した。これに対し上告人は、婚姻予約不履行による賠償義務を認めることは婚姻の自由や法律婚主義に反すると主張して争った。
あてはめ
当事者が仮祝言・結婚式を経て同棲生活に入っている以上、婚姻予約の成立が認められる。婚姻予約は契約として有効であり、不当な不履行に対し賠償責任を課しても、直接に婚姻を強制するものではないため、婚姻の自由を侵すとはいえない。また、予約に基づく責任追及は法律婚主義に反するものでもなく、正当な理由のない拒絶については慰謝料等の支払義務が生じると解するのが相当である。
結論
婚姻予約不履行による慰謝料請求は認められる。本件において上告人は正当な理由なく婚姻を拒絶したものとして、損害賠償責任を免れない。
実務上の射程
内縁関係に至る前段階の婚約(婚姻予約)の法的性質と効力を肯定した重要判例である。答案上では、憲法24条の婚姻の自由との調整として「間接的強制としての賠償は許容される」という文脈で用いる。また、本件が人訴事件ではなく一般の民事訴訟事件として扱われる点も実務上の留意点となる。
事件番号: 昭和25(オ)286 / 裁判年月日: 昭和27年10月21日 / 結論: 棄却
原判決(後記)の確定した事実関係のもとにおいては、被告(内縁の夫)は、自己の責に帰すべき事由により原告(内縁の妻)との婚姻の予約を履行不能に陥らしめたものというのが相当である。
事件番号: 昭和38(オ)334 / 裁判年月日: 昭和38年12月20日 / 結論: 棄却
当事者がいずれも高等学校卒業直後であり、男性においてなお大学に進学して学業を継続しなければならないときに肉体関係を結ぶに至つた場合でも、将来夫婦となることを約して肉体関係を結んだものであり、その後も男性において休暇で帰省するごとに肉体関係を継続し、双方の両親も男性の大学卒業後は婚姻させてもよいとの考えで当事者間の右の関…
事件番号: 昭和33(オ)286 / 裁判年月日: 昭和33年10月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】婚姻予約不履行に基づく慰謝料の額は、事実審の口頭弁論終結時までに生じた一切の事情を考慮して、裁判所の自由な裁量により量定することができる。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間には婚姻の予約(婚約)が成立していたが、その後、予約の不履行が生じた。第一審および原審(控訴審)は、当事者間に存する「…