自白の撤回が許されるためには、真実に反しかつ錯誤に基づくことで足り、右錯誤につき無過失であることを必要とするものではない。
自白の撤回が許されるためには錯誤につき無過失であることが必要か
民訴法257条
判旨
裁判上の自白の撤回が認められるためには、自白が真実に反し、かつ錯誤に基づくものであることを要するが、その錯誤について自白者に無過失であることまでは必要ではない。
問題の所在(論点)
裁判上の自白の撤回要件として、「真実に反すること」及び「錯誤」の証明が必要とされるが、その「錯誤」について自白者の無過失までもが要件となるか。
規範
裁判上の自白の撤回は、自白の内容が真実に反し、かつ、それが錯誤に基づくものであることが認められる場合に許容される。この錯誤の要件については、自白者に無過失があることまでは必要とされない。
重要事実
被上告人が訴訟手続において自白をしたが、後にその自白を撤回した。上告人は、自白の撤回が有効となるためには、自白したことにつき過失がないことを直接証明しなければならないと主張して争った。
あてはめ
本件において、被上告人がした自白の撤回は、当該自白が真実に反しかつ錯誤に基づくものであることが認められる。上告人は、錯誤が認められるためには無過失の証明が必要であると主張するが、法の解釈として錯誤につき無過失であることまでは不要であると解される。したがって、錯誤の存在が認められる以上、撤回は有効であると判断すべきである。
結論
自白の撤回における錯誤の要件に無過失は不要であり、撤回は有効である。
実務上の射程
自白の撤回(不要証効・審判排除効の消滅)を論じる際の必須判例である。答案上は「真実に反すること」から「錯誤」が推定されるという実務上の運用を前提としつつ、反論として「過失があるから撤回不能」という主張が出た際に、本判決を根拠に「無過失は不要」と排斥する流れで活用する。
事件番号: 昭和29(オ)651 / 裁判年月日: 昭和30年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白の撤回は、自白した事実が真実に反することの証明があるときは、特段の事情がない限り、錯誤に出たものと推定して認めることができる。 第1 事案の概要:本件訴訟において、被上告人が行った自白について、後にこれが真実に反するものであるとして撤回の可否が争点となった。原審(第2審)は、提出された…