不動産の単独所有を主張してその所有権確認を求めたのに対し、裁判所が単独所有の事実を否認するとともに、これが相手方との共有に属ずることを認定して、その持分の割合に応じた持分権を有する旨確認し、また、右不動産について、自己から相手方のためになされている所有権移転登記の抹消を求めたのに対し、右自己の持分についてのみの一部抹消すなわち更正登記を命ずることは、その申立の範囲内で請求の一部を認容したものにほかならない。
民訴法第一八六条に違反しないとされた事例
民訴法186条
判旨
不動産の単独所有権の確認請求に対し共有持分権の確認をすること、および所有権移転登記の全部抹消請求に対し一部抹消(更正登記)を命じることは、処分権主義に反せず適法である。
問題の所在(論点)
単独所有権の確認および登記の全部抹消の請求に対し、共有持分権の確認および登記の一部抹消を命じることが、旧民訴法186条(現行法246条)の禁止する「申立てていない事項」についての判決にあたるか。
規範
処分権主義(民事訴訟法246条)の観点から、裁判所は当事者が申し立てていない事項について判決をすることはできないが、申立ての範囲内において請求の一部を認容することは許容される。具体的には、量的・質的な一部認容が原告の合理的意思に反せず、かつ被告に不測の不利益を与えない場合には、処分権主義に違反しない。
重要事実
上告人は、本件不動産について自己の単独所有を主張し、その所有権確認および被上告人名義の所有権移転登記の全部抹消を求めて提訴した。これに対し、裁判所は単独所有の事実を否認した一方、証拠に基づき当該不動産が上告人と被上告人の共有に属することを認定し、持分割合に応じた持分権の確認および登記の一部抹消(更正登記)を命じる判決を下した。上告人はこれが申立ての範囲を逸脱するものであるとして上告した。
あてはめ
不動産の単独所有権確認の請求には、その性質上、持分権の確認を求める意思も内包されていると解される。また、登記の全部抹消請求についても、それが認められない場合に自己の持分に応じた一部の抹消を求める意思が含まれるのが通常である。したがって、裁判所が共有持分を認定して持分権の確認や更正登記を命じることは、原告が求めた「全部」の認容に対し、その範囲内にある「一部」を認容したものといえ、申立ての範囲を逸脱するものではない。
結論
本件判決は処分権主義に違反せず、上告を棄却する。共有持分権の確認および一部抹消登記を命じることは適法である。
実務上の射程
処分権主義における一部認容の可否を論じる際のリーディングケースである。答案上では、単独所有権と共有持分権の同一性(量的な一部)を指摘し、原告の合理的意思に反しないことを理由に、246条違反を否定する流れで活用する。また、引換給付判決などの他の変容判決の議論との比較でも参照される。
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