共同相続による共有登記名義人らを被告とする土地所有権確認の訴は、必要的共同訴訟に属しない。
必要的共同訴訟にあたらないとされた事例 私文書の作成名義人の印章による印影が本人の意思により顕出されたと事実上推定されなかつた事例
民訴法62条
判旨
同一物件について複数の者を被告とする所有権確認訴訟は、共同相続による共有名義人を被告とする場合であっても必要的共同訴訟ではなく、各被告ごとに判決が区々となることも許容される。また、二段の推定における第一段階の推定(印影が本人の意思に基づくことの推定)は事実上の推定に留まり、反証により破り得る。
問題の所在(論点)
1. 共同相続人らを被告とする所有権確認訴訟が、合一確定を要する固有必要的共同訴訟にあたるか。2. 本人の印章による印影が存在する場合に生じる「本人の意思に基づく押印」の推定を、経験則に基づく反証によって覆すことができるか。
規範
1. 同一の物件につき、複数の被告(共同相続人等)に対し所有権確認を求める訴えは、各被告との関係で独立した請求であり、通常共同訴訟(民事訴訟法38条)にあたる。2. 二段の推定において、本人名下の印影が本人の印章によって顕出されたことが確定した場合、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと「事実上推定」され、これにより文書全体の成立の真正が法律上推定される(民訴法228条4項)。ただし、第一段階の推定は事実上の推定であるから、反証により覆すことが可能である。
重要事実
上告人(原告)が、本件土地の所有権確認を求めて複数の者を被告として提訴した。第一審において被告Eとの関係では請求が認容されて確定したが、被上告人(他の被告)らとの関係では請求が棄却され、結論が分かれた。また、上告人は贈与証書(甲1号証の1)を証拠として提出し、そこにある贈与者の印影が本人の印章によることは争いがなかったが、上告人は当時贈与者と同居しており印章を自由に使用できる環境にあった。
事件番号: 昭和42(オ)535 / 裁判年月日: 昭和46年10月7日 / 結論: 棄却
一、一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、共有権(その数名が共同して有する一個の所有権)に基づき共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態は、固有必要的共同訴訟と解すべきである。 二、一個の不動産を共有する数名の者全員が、共同原告となり、共有権(その数名が共同して有する一個の所有権)に基づき所有権移転登…
あてはめ
1. 物権の対世的効力を考慮しても、確認訴訟において被告ごとに結論が区々となることは、弁論主義・処分権主義の帰結として許容される。したがって、必要的共同訴訟とは解されない。2. 本人の印章による印影がある場合でも、上告人が本人の印章を自由に持ち出し得る状況にあったこと、文書の記載内容や作成の必要性に疑義があること等の事情が認められる。これらは印影の顕出が本人の意思に基づかないことを推認させるに十分な事実であり、事実上の推定を破る反証となる。
結論
1. 所有権確認訴訟は通常共同訴訟であり、必要的共同訴訟ではない。2. 反証により印影の成立の真正を否定した原審の判断は正当である。上告棄却。
実務上の射程
所有権確認訴訟が通常共同訴訟であることを示した代表的判例であり、訴訟形態の選択や合一確定の要否が問われる場面で参照すべきである。また、文書の真正を争う実務において「二段の推定」をいかに崩すか(印章の盗用・流用の主張)の指針となる。
事件番号: 昭和38(オ)495 / 裁判年月日: 昭和39年9月4日 / 結論: 棄却
甲と乙とが同一地域を重複して管理している場合には、甲の占有は平穏な占有とはいえない。
事件番号: 昭和36(オ)201 / 裁判年月日: 昭和40年5月27日 / 結論: その他
相続放棄の申述についても、民法第九五条の適用がある。
事件番号: 昭和37(オ)875 / 裁判年月日: 昭和40年1月19日 / 結論: 棄却
土地の共有者がその持分権のみを第三者に移転するには、他の共有者の同意は不要である。