一、一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、共有権(その数名が共同して有する一個の所有権)に基づき共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態は、固有必要的共同訴訟と解すべきである。 二、一個の不動産を共有する数名の者全員が、共同原告となり、共有権(その数名が共同して有する一個の所有権)に基づき所有権移転登記手続を求めているときは、その訴訟の形態は、固有必要的共同訴訟と解すべきである。
一、共有者全員が提起した共有権確認訴訟と固有必要的共同訴訟 二、共有者全員が提起した共有権に基づく所有権移転登記手続請求訴訟と固有必要的共同訴訟
民訴法62条,民法249条,民法251条
判旨
共有者全員が共同原告となり、第三者に対し「一個の所有権(共有権)」自体の確認や真正な登記名義の回復を求める訴訟は、固有必要的共同訴訟に当たる。そのため、共同原告の一人がした訴えの取下げは、その効力を生じない。
問題の所在(論点)
共有者全員が共同して「共有権」に基づく確認や移転登記を求める訴訟の性質(固有必要的共同訴訟の成否)、および共同原告の一人による訴えの取下げの効力。
規範
一個の物を共有する全員が共同して、いわゆる共有権(数人が共同して有する一個の所有権)に基づき、第三者に対してその確認や所有権移転登記手続を求める訴訟は、固有必要的共同訴訟(民訴法40条1項)である。けだし、共有者全員の一個の所有権そのものが紛争の対象であり、全員が共同して訴訟追行権を有し、かつ判決による解決は全員に矛盾なく合一に確定すべき要請があるからである。したがって、共同原告の一部がした訴えの取下げは効力を生じない。
重要事実
被上告人(原告)2名は、本件土地を共同で買い受けたが、便宜上上告人(被告)名義で所有権移転登記を経由していた。被上告人らは上告人に対し、本件土地の共有権の確認および真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めて共同で提訴した。第一審係属中に、被上告人Bが訴えを取り下げる旨の書面を提出し、上告人もこれに同意したが、原審は当該取下げを無効と判断した。上告人は、本件は通常共同訴訟でありBの取下げによりBとの間の訴訟は終了したと主張して上告した。
事件番号: 昭和36(オ)201 / 裁判年月日: 昭和40年5月27日 / 結論: その他
相続放棄の申述についても、民法第九五条の適用がある。
あてはめ
本件訴訟において被上告人らは、各自の持分権ではなく、二人で共同して有する「一個の所有権」そのものの帰属を争点としている。このような場合、紛争の合理的解決のためには共有者全員につき合一に確定する必要があり、共有者全員が共同しなければ訴訟を追行する権限を有しない。本件は真正な登記名義の回復を目的とする移転登記請求であるが、これも共有権自体の確認と同様に全員に合一確定の必要性が認められる。よって、本件は固有必要的共同訴訟であり、被上告人Bが単独で行った取下げは、必要的共同訴訟人全員で行われたものではないため、その効力を生じない。
結論
本件訴訟は固有必要的共同訴訟であり、共同原告の一人である被上告人Bがした訴えの取下げは無効である。
実務上の射程
共有物の返還請求や妨害排除請求(保存行為)が通常共同訴訟とされるのと異なり、「共有権そのものの確認」を求める場合は固有必要的共同訴訟となる点に注意が必要である。答案上は、訴訟物たる権利の性質(一個の所有権か否か)と、管理処分権の帰属、および合一確定の要請から性質を判断する際の規範として活用する。
事件番号: 昭和41(オ)115 / 裁判年月日: 昭和45年9月8日 / 結論: 棄却
共同相続による共有登記名義人らを被告とする土地所有権確認の訴は、必要的共同訴訟に属しない。
事件番号: 昭和42(オ)861 / 裁判年月日: 昭和45年12月24日 / 結論: 破棄差戻
民訴法七一条に基づく参加があつた訴訟において、原告の請求について判断を欠く判決は違法であつて破棄を免れず、この瑕疵は、訴訟要件に準じ、職権をもつて調査すべきである。
事件番号: 昭和35(オ)172 / 裁判年月日: 昭和36年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の単独所有権を前提として登記抹消を請求する場合、裁判所は当事者の主張しない共有持分権に基づく請求について審理判断すべきではなく、釈明義務も負わない。 第1 事案の概要:上告人は、対象不動産について自己が単独所有権を有することを前提として、登記の抹消を求めて提訴した。原審は、上告人に単独所有権…