民訴法第四一九条ノ二、裁判所法第七条第二号の規定は、憲法第三二条に違反しない。
民訴法第四一九条ノ二、裁判所法第七条第二号の規定の合憲性
憲法32条,裁判所法7条,民訴法419条ノ2
判旨
憲法は、最高裁判所が違憲審査権を行使する場合を除き、審級制度の具体的内容を立法の裁量に委ねている。したがって、高等裁判所の決定に対し、違憲を理由とする場合以外に抗告を認めない制限を設けることは憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
下級裁判所(高等裁判所)の決定に対し、違憲を理由とする場合を除いて最高裁判所への抗告を認めないとする立法制限(旧民訴法419条の2等)が、憲法が保障する裁判を受ける権利や審級制度の趣旨に反し、憲法違反となるか。
規範
憲法は、最高裁判所が終審裁判所として違憲審査権を行使すること(憲法81条)を保障する一方で、具体的な審級制度の構成については立法府の裁量に委ねている。そのため、不服申立ての範囲を限定し、特定の裁判に対して抗告を認めない制度を設けることは、憲法の予定する範囲内であり、直ちに憲法違反とはならない。
重要事実
抗告人は、下級裁判所の決定に対して最高裁判所への抗告を申し立てた。その際、旧民事訴訟法419条の2や裁判所法7条2号が、高等裁判所の決定に対する抗告を憲法違反を理由とする場合に限定している点について、これらの規定が審級の権利を不当に制限し憲法に違反すると主張して、本件抗告に至った。
事件番号: 昭和34(ク)84 / 裁判年月日: 昭和37年1月22日 / 結論: 棄却
上告理由書を原裁判所に提出せしめ、提出期間徒過の場合に原審において上告却下の裁判をすることは、憲法第三二条に違反しない。
あてはめ
憲法は81条において最高裁判所に違憲審査権を付与しているが、それ以外の事項について下級裁判所の決定に対し最高裁判所への抗告を許すか否かは、純然たる審級制度の設計問題である。判例の趣旨に照らせば、審級制度は立法府がその裁量によって定めるべき事項である。本件において、高等裁判所の決定について違憲を理由とする場合以外は抗告できないとする制限は、立法府に委ねられた合理的な制度設計の範囲内といえる。したがって、当該制限規定を違憲とする抗告人の主張は前提を欠き、採用できない。
結論
高等裁判所の決定に対し、違憲を理由とする場合を除き抗告を認めない立法制限は憲法に違反しない。したがって、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
司法試験の憲法において「審級の利益」が論点となる際、審級制度が立法政策の範囲内であることを示す重要判例として活用できる。特に、裁判を受ける権利(32条)が何段階の審級を保障するかという文脈で、憲法81条の例外を除き立法裁量が広いことを論証する際の根拠となる。
事件番号: 昭和32(ク)200 / 裁判年月日: 昭和32年10月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条の裁判を受ける権利は審級等の具体的内容を法律に委ねているため、上告理由書を提出しなかった場合に裁判所が決定で上告を却下する規定は合憲である。また、上告理由は書面自体に記載すべきであり、他事件の上告理由書を援用することは許されない。 第1 事案の概要:抗告人(上告人)は、民事訴訟法が定める…
事件番号: 昭和39(ク)19 / 裁判年月日: 昭和39年2月7日 / 結論: 却下
民訴法第四一九条ノ二は憲法第三二条に違背しない。
事件番号: 昭和32(ク)222 / 裁判年月日: 昭和32年12月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判官の忌避の申立てを却下する決定に対しては、刑事訴訟法432条、428条2項により、特別抗告をすることはできない。 第1 事案の概要:裁判官に対する忌避の申立てについて、裁判所がこれを却下する決定を行った。これに対し、抗告人が最高裁判所に対して抗告(特別抗告)を申し立てた事案である。 第2 問題…
事件番号: 昭和42(ク)28 / 裁判年月日: 昭和42年3月29日 / 結論: 却下
高等裁判所が抗告審としてなした決定に対し、民訴法第四一三条による再抗告は許されない。