手形の受取人として記載されていない者が裏書をなした場合でも、その後に振出人が右手形の受取人名を右裏書人の氏名に訂正し、かつ、裏書人がその裏書に際し受取人名が右のように訂正されることを前提として裏書をしたものであるときは、右裏書は有効である。
手形の受取人として記載されていない者がなした裏書を有効とした事例
手形法16条1項,手形法11条
判旨
手形振出人が受取人名を訂正することを前提に、裏書人が白地裏書をして交付した場合には、その後に受取人名が訂正されれば、当該裏書は有効なものとして取り扱われる。
問題の所在(論点)
手形の受取人名が訂正される前になされた裏書の効力、および受取人名が事後的に訂正された場合における裏書譲渡の有効性が問題となる。
規範
振出人が受取人の記載を訂正することを前提として、裏書人が被裏書人欄を白地とした裏書(白地裏書)を行い手形を交付した場合には、その後に実際になされた訂正の内容に基づき、裏書人は当該受取人として有効に裏書譲渡を行ったものと解するのが相当である。
重要事実
振出人であるD協同組合が振り出した手形について、受取人名を上告人に訂正することが前提とされていた。上告人は、被裏書人を白地とした状態で本件手形に裏書をし、これを被上告人に交付した。その後、実際に振出人において受取人名が上告人へと訂正された。
あてはめ
本件では、受取人名の訂正がなされることを前提として裏書・交付が行われている。実際にその後、振出人によって受取人名が上告人に訂正されたことで、形式的にも上告人が受取人としての地位を確立した。したがって、上告人がなした白地裏書は、上告人を受取人とする手形についてなされた有効な裏書と評価できる。
結論
上告人のなした裏書は有効であり、上告人は受取人として手形を有効に譲渡したものと解すべきである。
実務上の射程
手形要件の不備や記載事項の訂正が予定されている状況下での先行する裏書の有効性を肯定する際の根拠となる。実務上は、当事者間の合意や前提状況から裏書の有効性を維持しようとする解釈指針として活用できる。
事件番号: 昭和41(オ)586 / 裁判年月日: 昭和41年12月1日 / 結論: 棄却
会社の資力を仮装するため単に見せ手形として使用する約束のもとに振出人欄に記名押印し振出日および受取人欄を空欄として交付された約束手形につき、相手方が約旨に反して右空欄を補充した場合であつても、さらに裏書譲渡を受けた所持人が悪意重過失なくして右約束手形を取得したものである以上、振出人は所持人に対して手形金支払義務を負うも…